備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

哲学・文学

稲葉振一郎「モダンのクールダウン 片隅の啓蒙」(1)

モダンのクールダウン (片隅の啓蒙)作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2006/03/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 62回この商品を含むブログ (75件) を見る第1章 ポストモダンとは何(だったの)か 大衆社会論のいかが…

適菜収「キリスト教は邪教です!」

キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクリスト』 (講談社+α新書)作者: フリードリッヒ・ニーチェ,適菜収出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/04/21メディア: 新書購入: 8人 クリック: 136回この商品を含むブログ (103件) を見る 超訳「アンチクリスト」…

宮台真司・鈴木弘輝・堀内進之介「幸福論 〈共生〉の不可能と不可避について」

幸福論―“共生”の不可能と不可避について (NHKブックス)作者: 宮台真司,鈴木弘輝,堀内進之介出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 43回この商品を含むブログ (64件) を見る 「フィールグッド」をめぐる議論 …

大屋雄裕「自由とは何か−監視社会と「個人」の消滅」(2)

自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅 (ちくま新書)作者: 大屋雄裕出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/09メディア: 新書購入: 11人 クリック: 199回この商品を含むブログ (91件) を見る 「自由な個人」への信条表明 功利主義は、個人の効用の水準を、…

大屋雄裕「自由とは何か−監視社会と「個人」の消滅」(1)

自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅 (ちくま新書)作者: 大屋雄裕出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/09メディア: 新書購入: 11人 クリック: 199回この商品を含むブログ (91件) を見るはじめに第1章 規則と自由 民法では、十分な行為能力を持たない…

カール・ヒルティ「幸福論(第一部)」(2)

幸福論 (第1部) (岩波文庫)作者: ヒルティ,草間平作出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1961/01/01メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 54回この商品を含むブログ (40件) を見る キリスト者の内側のみに閉ざされた幸福論 ヒルティの幸福論は、Amazon.comの「売…

カール・ヒルティ「幸福論(第一部)」(1)

幸福論 (第1部) (岩波文庫)作者: ヒルティ,草間平作出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1961/01/01メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 54回この商品を含むブログ (40件) を見る仕事の上手な仕方 人を幸福にするのは、仕事の種類ではなく、創造と成功の喜び。…

中山元「フーコー入門」(2)

フーコー入門 (ちくま新書)作者: 中山元出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1996/06/01メディア: 新書購入: 14人 クリック: 79回この商品を含むブログ (74件) を見る 標記の本について、アマゾン用に改めて感想を。・・・・・・・・・・ 近代の権力に抗う方策…

アラン「幸福論」

幸福論 (岩波文庫)作者: アラン,Alain,神谷幹夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1998/01/16メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 79回この商品を含むブログ (105件) を見る アラン−完成された人間像 アランという人物から思い浮かぶのは、完成された人間像…

バートランド・ラッセル「幸福論」(3)

ラッセル幸福論 (岩波文庫)作者: B.ラッセル,安藤貞雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/03/18メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 71回この商品を含むブログ (63件) を見る 実践的幸福論 ラッセルの幸福論は、文献や対象を研究することで紡ぎ出されたも…

バートランド・ラッセル「幸福論」(2)

ラッセル幸福論 (岩波文庫)作者: B.ラッセル,安藤貞雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/03/18メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 71回この商品を含むブログ (63件) を見る第10章 幸福はそれでも可能か 幸福であるためには、追求すべき、困難ながらも実…

バートランド・ラッセル「幸福論」(1)

ラッセル幸福論 (岩波文庫)作者: B.ラッセル,安藤貞雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/03/18メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 71回この商品を含むブログ (63件) を見る第1章 何が人びとを不幸にするのか (私が人生を楽しめるようになった理由の大…

中山元「フーコー入門」(1)

フーコー入門 (ちくま新書)作者: 中山元出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1996/06/01メディア: 新書購入: 14人 クリック: 79回この商品を含むブログ (74件) を見る序 現在の診断−フーコーの方法 フーコーは〈現在〉の意味を分析し、その成立の根拠と背景を…

「生−権力」と日本の雇用システム

近代の福祉国家が人間を「生かす(=活かす)」ための権力(生−権力)を持つものであり、その「権力」は、規制する権力と異なり、他者との関係の網目から発生するものだというM・フーコーの見方は興味深い。このような批判は、長期雇用の仕組みを持つ日本の…

これはあまりに「痛い」のではないの???

「とりあえず安定だよね」(内田樹の研究室) あまり言われないことだが、消費行動は「現在手元にある金」ではなく、「将来的に手元にあるであろう金」を基準になされる。 経済学者はそういうことを言わない(だって「将来手元にあるであろう金」なんてひと…

サン・テグジュペリ「星の王子さま」

星の王子さま (新潮文庫)作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,河野万里子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/03/01メディア: 文庫購入: 24人 クリック: 119回この商品を含むブログ (182件) を見る 「なつかせたもの、絆を結んだものしか、…

稲葉振一郎「リベラリズムの存在証明」エピローグ

メモ。 通常理解されるところでは、フーコーの新しさは、権力を単に主体の行為を外側から型にはめたり操作したりするものとしてではなく、主体そのものを成形し、生産しているものとしてとらえられているところである。フーコー以前の「不可視の権力」論は、…

ジャン・ブリグモン「21世紀の左派に告ぐ」

ハイエク関連で面白い文献を発見したのでメモ。「インタラクティヴ読書ノート別館の別館」経由。 左派の場合、穏健右派の政策を主張するにとどまる限り、勝利のチャンスはない。左右を分かつのは、経済の統制という基本問題である。(中略) 大企業の発展に…

翻訳の問題

一谷藤一郎他訳によるハイエク「隷従の道」には、次のような記述がある。 全ての集産主義体制に共通な特徴は、社会主義各派にこれまで親しまれている言葉で表せば、一定の社会目標のために、社会の労働力を意識的に組織化するにあるということができる。 一…

アラン・ド・ボトン「旅する哲学−大人のための旅行術」

旅する哲学―大人のための旅行術作者: アラン・ドボトン,Alain De Botton,安引宏出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/04メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 97回この商品を含むブログ (14件) を見る※このエントリーは現在書き直し中であるため、公開を一時…

内田樹「格差社会って何だろう」

「格差社会」というのは、格差が拡大し、固定化した社会というよりはむしろ「金の全能性」が過大評価され、その結果「人間を序列化する基準として金以外のものさしがなくなった社会」のことではないのか。 経済的格差、或いは「下流」であることの意識が、人…

桐野夏生「OUT」

OUT(アウト)作者: 桐野夏生出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/07メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (53件) を見るコメント 「OUT」の世界には、やむにやまれぬ理由から深夜のパート労働を強いられる女性たちが登場する。この単調か…

小川和也「鞍馬天狗とは何者か 大佛次郎の戦中と戦後」

鞍馬天狗とは何者か―大仏次郎の戦中と戦後作者: 小川和也出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2006/07メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見るコメント 大佛次郎の「戦争責任」を未再刊の作品群を読み解くことによって描き出し、その…

内田樹「下流志向 学ばない子供たち 働かない若者たち」

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち作者: 内田樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/01/31メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 96回この商品を含むブログ (672件) を見る 下記のコメントについては、十分に議論が整理されていないにも拘わら…

仲正昌樹「ネット時代の反論術」

ネット時代の反論術 (文春新書)作者: 仲正昌樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/10メディア: 新書購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (46件) を見るコメント 先日取り上げた飯田「ダメな議論」が、議論の論理的な側面に注目し、ダメな議論…

柄谷行人「世界共和国へ−資本=ネーション=国家を超えて」

世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて (岩波新書)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/04/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 76回この商品を含むブログ (142件) を見るコメント 「柄谷史観」とでも言うべき理論が展開される書。最…

中山元「レヴィナスにおける哲学と宗教−レヴィナス「神学と哲学」を読む」

立岩理論を考えながら、似たような話を何処かで見たことがあるなぁと思い、思い出したのがこの論文。 主体は自律的な主体として成立しうるのではなく、すでに他者に責任を負った主体として成立してしまっているのである。...人は自由な人間として他者に対峙…

ダン・ブラウン(越前敏弥訳)「ダ・ヴィンチ・コード」

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)作者: ダン・ブラウン,越前敏弥出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/03/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 63回この商品を含むブログ (698件) を見るダ・ヴィンチ・コード(中) (角川文庫)作者: ダン・ブラウン,越…

「超・世代論 橋爪大三郎×東浩紀」(読売新聞 01/05/06夕刊)

東 僕は最近の階層化社会論は疑問に思っています。昔は、地の獲得にお金がかかったので、富の配分と知の配分は連動していた。ところがインターネットなどが発達した現在では、富の格差は必ずしも知の格差を意味しない。『動物化するポストモダン』で僕が言い…

永井均「私・今・そして神」(その3)

私・今・そして神 開闢の哲学 (講談社現代新書)作者: 永井均出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/10/19メディア: 新書購入: 4人 クリック: 30回この商品を含むブログ (102件) を見る06/26付けエントリー中、第3章に追記。その上で、 この言語(中略)の、…