ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

雇用システム

濱口桂一郎『働く女子の運命』

働く女子の運命 ((文春新書))作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/12/18メディア: 新書この商品を含むブログ (9件) を見る若年、中高年、女性という区分けは、日本の労働政策の中では比較的馴染みのあるもので、それぞれに応じた雇用・労…

濱口桂一郎『日本の雇用と中高年』

日本の雇用と中高年 (ちくま新書)作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/05/07メディア: 新書この商品を含むブログ (15件) を見る 長期雇用と年功賃金をベースに持つ日本的雇用慣行については、賃金水準と仕事のパフォーマンスが年齢が上が…

雇用の「質」は、なぜ改善しないのか?

このところ景気は回復し、物価は上昇しているが、給与があまり増加せず、実質賃金の低下が問題視されている。景気が回復しても給与が思うように伸びないことの大きな要因は、「量」的な側面からみれば雇用は改善しているものの「質」的な側面が改善せず、非…

大学に価値はあるか?

前回のエントリーで取り上げた濱口桂一郎『若者と労働』では、就活において「人間力」が重視されること、あるいは仕事の経験がない若者が「自己分析」など心理学的ツールを頼ることについて、日本における「教育と職業の密接な無関係」という文脈から説明を…

濱口桂一郎『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』

若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす (中公新書ラクレ)作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/08/10メディア: 新書この商品を含むブログ (18件) を見る 本書は、前著『日本の雇用と労働法』に描かれた日本の雇用システムに関す…

故小野旭氏による構造的・摩擦的失業率推計の改善

構造的・摩擦的失業率の推計方法としては、先日のエントリーで取り上げたNAIRUのほかに、UV分析による均衡失業率がよく知られている。この推計では、労働力の供給である雇用者と失業者の合計値(U)と、労働力の需要である雇用者と欠員数の合計値(…

藪下史郎『スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない』

スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない作者: 藪下史郎出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2013/02/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る 経済学者ジョセフ・スティグリッツの評伝、その経済学上の思考の…

働く人の給与はこれからどう推移するか?

※グラフを差し替えました(08/12/13) 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、その出だしから株価の上昇と為替の円高是正をもたらし、好調な滑り出しをみせた(最近、やや足踏み状態となっているが)。こうした動きは、4月に発表されたこれまでとは次元の…

就業者数の予測──2015年第1四半期までのデータによる更新

ESPフォーキャスト調査の2013年5月結果と、先日公表された2013年第1四半期の四半期別GDP速報を用いて、今後の就業者数の動きを占うこととする。まずは、成長率の予測を単純にあてはめた実質GDPの水準の推移をみる。 実質GDPは当面順調…

景気回復にともなう雇用の改善には、世代ごとに異なる動き(その2)

前回のエントリーでは、非正規職員・従業員数が2002年から2007年までの間にどの程度変化したかを世代別に確認し、その結果、 この間、景気回復期にあり、新規学卒者の就職状況も改善していたが、2007年もほぼ同数の非正規職員・従業員数(約2千…

景気回復にともなう雇用の改善には、世代ごとに異なる動き

以前のエントリーで、パート・アルバイトで就業する有業者とパート・アルバイトでの就業を希望する無業者を合計した、いわゆる「フリーター」の属性に相当する者の数を年齢階級別(5歳刻み)に集計し、5年ごとに実施される調査(就業構造基本調査)により…

オリバー・ウィリアムソン(浅沼萬里、岩崎晃訳)『市場と企業組織』(4)

市場と企業組織作者: オリヴァー・イートン・ウィリアムソン,浅沼万里,岩崎晃出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1980/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (14件) を見る 続く二つの章では、支配的企業と独占の問題(独占…

オリバー・ウィリアムソン(浅沼萬里、岩崎晃訳)『市場と企業組織』(3)

市場と企業組織作者: オリヴァー・イートン・ウィリアムソン,浅沼万里,岩崎晃出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1980/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (14件) を見る 第十章においては、内部組織と市場の関係について…

オリバー・ウィリアムソン(浅沼萬里、岩崎晃訳)『市場と企業組織』(2)

市場と企業組織作者: オリヴァー・イートン・ウィリアムソン,浅沼万里,岩崎晃出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1980/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (14件) を見る 前エントリーでは、市場における商品取引のかわり…

オリバー・ウィリアムソン(浅沼萬里、岩崎晃訳)『市場と企業組織』(1)

※一部追記・修正しました。(07/22/12)市場と企業組織作者: オリヴァー・イートン・ウィリアムソン,浅沼万里,岩崎晃出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1980/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (14件) を見る エリノア・…

太田聰一『若年者就業の経済学』

若年者就業の経済学作者: 太田聰一出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2010/11/19メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 76回この商品を含むブログ (13件) を見る 数々の研究成果を発表している(「現役」の)労働経済学者による若年雇用問題に関す…

BLOGOS投稿の載録

5月16日付けのBLOGOS Discussionに投稿した内容を、こちらにも載録する。 若者雇用戦略の骨子案が公表。効果はある?若者の就職を支援する「若者雇用戦略」の骨子を政府がまとめました。 ・参照リンク 若者雇用戦略の骨子(案)日経新聞の報道によると最…

ESPフォーキャスト調査による就業者数の予測

16日に公表されたESPフォーキャスト調査により、今後の就業者数の推移を予測する。まず、実質GDPの水準はつぎのようになる。 実質GDPは、緩やかに上昇しているが、経済危機以前のピークの水準に達するのは、2013年の第3四半期まで待つことになる。ま…

雇用政策のジレンマ

※追記および関連エントリーを追加しました。(12/03/11) ここにいう「ジレンマ」とは、通常、雇用情勢がよくなること、例えば、求人数が増加すれば、雇用政策の執行はより容易になると考えるのが自然であるが、逆に、雇用情勢がよくなることによって、雇用…

濱口桂一郎『日本の雇用と労働法』

日本の雇用と労働法 (日経文庫)作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2011/09/16メディア: 新書購入: 10人 クリック: 124回この商品を含むブログ (9件) を見る 日本の雇用システムを構成している各種の部分システムは、メンバーシ…

停滞が見込まれる就業者数

2月14日(月)に2010年第4四半期のGDP速報が公表され、2010年における実需の動向を表すデータが出そろった。ついては、ちょうど1年前に行ったのと同様、ESPフォーキャスト調査*1による実質GDP成長率予測をベースに、今後の就業者数の推移がどう…

新規学卒者の就職環境&真の失業率

先日、来春の大学卒業者の就職内定率が12月1日現在で68.8%(前年73.1%)、高校卒業者が70.6%(同68.1%)となり、大学卒業者の就職内定率は昨年を下回り過去最低となったことが大きく報道されました。就職内定率は今後4月に向けて上昇することになりま…

就業者数が増加に転じても、医療、福祉の就業者数は引き続き増加

以前に作成したグラフを更新したので、提供します。2010年半ばより、非自発的な離職失業者は減少に転じ、就業者数もここ2カ月は増加となっています。一方で、医療、福祉の就業者数は引き続き増加しております。2007年には建設業とほぼ同数だった就業者数は…

武田晴人『仕事と日本人』

仕事と日本人 (ちくま新書)作者: 武田晴人出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/01/01メディア: 新書購入: 5人 クリック: 56回この商品を含むブログ (15件) を見る 今村がいうように、労働の喜びは虚構であるとすれば、仕事や地位を得ることの喜びもまた、…

「仕事を豊かに生む景気回復」とILOによる政策効果分析

4月20〜21日にワシントンD.CにおいてG20労働・雇用担当大臣会合が開催されました。このときに、ILO(国際労働機関)が提出したレポート"Accelerating a job-rich recovery in G20 countries: Building on experience" を読む機会がありましたので、少…

完全失業率の改善

※『ガジェット通信』に掲載していただきました。(03/23/10) http://getnews.jp/archives/52631 やや古い話題となりますが、2010年1月の完全失業率は改善し、4.9%となりました。この「改善」には、これまでの動きとは異なる傾向がひとつみられます。就業…

八代尚宏『労働市場改革の経済学 正社員「保護主義」の終わり』

労働市場改革の経済学作者: 八代尚宏出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2009/11/20メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 76回この商品を含むブログ (13件) を見る 八代尚宏『労働市場改革の経済学 正社員「保護主義」の終わり』では、「労・労対立」を…

本田由紀「教育の職業的意義──若者、学校、社会をつなぐ」

教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書)作者: 本田由紀出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/12/01メディア: 新書購入: 13人 クリック: 286回この商品を含むブログ (63件) を見る 本田由紀「教育の職業的意義」では、日本の学校教育制度…

今村仁司「近代の労働観」

近代の労働観 (岩波新書)作者: 今村仁司出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1998/10/20メディア: 新書購入: 9人 クリック: 222回この商品を含むブログ (25件) を見る 今村仁司は、近代の労働観を古代のそれを転倒する形で生じたものとみる。 古代の労働観では…

人的資本論と内部労働市場論(2)

※文章の追加、修正等を小幅に行いました。(10/16/09)(過去のエントリー) デヴィッド・マースデン「雇用システムの理論 社会的多様性の比較制度分析」(1) デヴィッド・マースデン「雇用システムの理論 社会的多様性の比較制度分析」(2)──市場と商品…