ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

ポール・グルーグマン(山形浩生訳)「復活だぁっ! 日本の不況と流動性トラップの逆襲」

http://cruel.org/krugman/krugback.pdf

2 流動性トラップの理論再訪

2.2 マネー、金利、価格:最低限のモデル

  • モデル:1財、代表的エージェント経済、効用関数はU=1/(1-rho)・ΣDt・ct^(1-rho)で、消費ctに依存(Dt:割引率、rho:定数)、各エージェントは施しytにより消費ctを行いyt=ct、現金先払制約(各エージェントは、t期の最初に名目金利itの1期もの債券と現金を交換)、Pt・ct<=Mt
  • 2期モデル:2期以降の施し(消費)はy*(=c*)、マネーサプライはM*で一定、将来価格P*=M*/y*は固定される。1+実質金利は連続した2期間の限界効用:1/(1+r)・pdU/pdc=pdU/pdc*
  • 効用関数の最大化条件から、pdU/pdc・1/P=pdU/pdc*・(1+i)/P*⇔1+i=P*/DP・(y*/y)^(1/rho)、よって現在価格が高いほど金利は低くなる(IS曲線)。

2.3 価格が柔軟な経済での流動性トラップ

  • 名目金利が0以下になると貨幣と債券が無差別となり、貨幣が増加しても価格には影響しない(非負制約)。完全雇用の条件として実質金利がマイナスである場合の条件は、1>D>=(y*/y)^(1/rho)⇔y>y*
  • 伸縮価格である場合、完全雇用の条件として実質金利がマイナスである場合の必要条件は、P*>P。これは、将来インフレとなるために現在デフレを起こしていると解釈できる。

2.4 ヒックス式の流動性トラップ

  • 修正モデル:完全雇用生産能力をyfとし、必ずしも使い切る必要はない。消費は当期の産出水準に応じて決まるものとしc=y=y*・(P*/DP)^(1/rho)・(1+i)^(-1/rho)。y=M/Pで、マネーを増やせば産出量を増やすことができるが、名目金利の非負制約はつく。
  • 流動性トラップが生じるのは、PがP*に比べて高い(デフレ期待から、名目金利が0でも実質金利が高すぎる場合)か、yfが高い(期待将来実質収入が今日の生産力を使い切るのに必要な消費量に比べて低い)場合。

2.5 投資、生産資本、q

  • 人生の第1期に労働し第2期に消費をするという2期間モデルによると、土地(資本)の限界生産がプラスであったとしても、土地への投資の期待収益がマイナスになりうる(人口減少による土地の実質価格の下落)。

2.6 財や資本の国際移動

  • 財・サービスの市場統合が不十分である場合、資本の国際移動が完璧であっても、国内消費という観点でみた実質金利を平準化するような資本移動が疎外される。
  • 開放経済IS−LMモデルでは、実質為替レートが長期的にある正常な値に回帰することを期待。実質為替レートは、この長期的なレートを基に国内債券と外国債券との実質金利の差から決定。金融拡大は実質為替の値下がりを引き起こすが、ゼロ金利で生じる為替レートの切り下げは有限*1
  • モデル:U=1/(1-rho)・ΣDt[cTt^tau・cNt^(1-tau)]^(1-rho)、NとTは各期に施しとして受け取る。貿易財は、世界市場で実質金利rTで貸し借り可能。

2.7 金融仲介業とMonetary Aggregates

2.8 財政政策

2.9 信用性と金融政策

2.10 まとめ

*1:マンデル=フレミング・モデルとの関係?