ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

湯山光俊「はじめて読むニーチェ」

はじめて読むニーチェ (新書y)

はじめて読むニーチェ (新書y)

第1章 フリードリッヒ・ニーチェ年代記−「三段の変化」

第2章 フリードリッヒ・ニーチェの思想−「発見」と「発明」

  • アポロは明瞭な輪郭と形式を創り出す神であり、〈個を生み出す〉ことに関係。ディオニソスは陶酔による解放と忘我を創り出す神であり、〈個の境界をゆるがせる〉ことに関係。
  • 「戯れ」(アポロの役割)は、いかなる価値も決定しないし、目標を持たないが、確実に喜びをもたらす技法。「存在への渇望」はアポロではなく、アポロはディオニソスとともに「生成への渇望」に力をみなぎらせる。
  • 永遠回帰」だけでなくほとんどのニーチェの概念は、堅固な定義づけなきまま、自らの身体で起きることを基に「実験」(他人の痛みを自分の痛みにする受苦の美学ではなく、自分の痛みを突き放して見ること)される。
  • 空間とは後から捉えうる主観であり、本来は力しか存在しない。力が有限であれば空間も有限であり、有限な力の結合関係が全ての力の関係を決定づける。瞬間ごとに結合関係の配分があり、この配分は無限の時間の中で確実に同じように繰り返される。
  • ニーチェの概念は出来事を定義するのではなく、作用や運動を作り出す。本当に概念を使用するためには、その概念を忘れ、意識しないまま肉体が働きに組み込まれるまでを目指す。
  • 力への意志」とは、生命個体にとっては〈力〉の生成と結合を実現しようとする作業そのものであるが、「固体」「類」の背景には世界全体の働きがあり、その宿命づけられた意志がある。「力の闘争」の具体例としての子象とライオンのドキュメンタリー。
  • あらゆるものに人々は意味(価値)を見出そうとするが、ことごとく挫折。一方の道は、ここではないどこか〈この世の彼岸〉に目標と統一を求める(受動的ニヒリズム)。また一方は、心理危機を受け入れ、目標と統一の挫折を自ら進んで受け入れる。価値が解体し、道徳が揺らぐ歴史的な過程を喜ばしく感じ、これを肯定(能動的ニヒリズム)。
  • ルサンチマンは、外からの作用がありそれに対する反作用として生まれる。このため、何者かに作られたり植え付けられることも可能(僧侶の〈権力への意志〉−従順はよいことだ、など)。ニーチェは、人間から復讐、つまり強者に対する弱者の嫉妬をなくしたかった。
  • ニーチェの文体−詩という方法、「アフォリズム」という方法、キャラクターで語る方法、系譜という方法。

第3章 フリードリッヒ・ニーチェの主要作品