備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

鵜飼博史、鎌田康一郎「マネタリー・エコノミクスの新しい展開:金融政策分析の入門的解説」(日銀レビュー)

  • IS−LM分析には、①ミクロ経済的な基礎がない、②価格の硬直性をアド・ホックに仮定、③期待の役割を厳密に定義しないとの問題。New Keynesianは、①経済主体の最適化行動を基礎に持ち、②期待の役割を厳密に扱う新たなモデルを提示。
  • この枠組みは、①今期の総需要を実質金利、来期の需給ギャップにより説明するIS曲線、②独占的企業の利潤最大化行動を来期の期待インフレ率、需給ギャップにより説明するフィリップス曲線、③金融政策ルールの3つの方程式に集約。
  • 自然利子率は、経済に摩擦がない場合に成立する実質金利中央銀行は、自然利子率+目標インフレ率を誘導目標とするのが最適な政策対応。テイラー・ルールでは、①インフレ率上昇→名目金利引き上げ、②需給ギャップ上昇→名目金利引き上げ
  • MP曲線は、金融政策ルールにフィリップス曲線を代入して得られる。これと、IS曲線を合わせたのがIS−MP分析のモデルであり、需要ショック、価格ショック、生産性ショックに応じた金融政策対応を説明可能。