ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

従業員給与のFair Valueについての考察

Fair Valueとは何か−これを従業員給与のそれにあてはめて考えた場合、それは企業内部の評価によるべきか、それとも、外部労働市場における評価によるべきなのか−後者だと断言する者にあっては、年功的要素(生活給概念や「知的熟練」)に基づく給与体系は「既得権」であるという考え方が生じうる。また、こうした発想を包み隠していたものが、村上氏のいう「ダイナミズム」という見方も可能。
外部労働市場における評価は、市場価格であるからFair Valueとしての根拠を持つが、企業内部における評価がFair Valueであるには、当該企業のキャッシュ・フローと連結したものである必要がある。ただし、生命保険の保険料が公正な保険料であるのと同じ理屈*1で、年功制賃金もまたFair Valueであるとも言える。つまり、企業内の分配が公正であれば、企業内部の評価に基づく給与体系もFair Valueである(Fair Valueの二面性については、企業会計、特に国際会計基準での議論にフォローすべき点がある。)。「既得権」という考え方は、企業内部における配分の問題から離れて、入職等における「世代効果」や社会階層の分断といった要素に限定されるべきか。

*1:現時点のリスクは、高齢者で大きく若年者で小さいが、保険料は保険期間にわたって同一。