内藤伸浩「資産流動化型証券化とノンリコース・ファイナンス」(ARES)
1 資産流動化型証券化の実際
- 資産流動型証券化は、超大型物件の売却・バルクセール等の「資産処分型」のほか、「オフバランス型」と「資金調達型」に区分され、後者はさらに「借換型」と「取得資金調達型」に区分される。
- 「借換型」は、オリジネーターがSPCのエクイティを保有し、当該資産の支配可能性を担保しつつ負債比率の削減*1やROAの向上を目的に実施される。この場合、「リスク経済価値アプローチ」に基づき売却とみなすことができるかは論点となる。
- 「取得資金調達型」では、「実質的買主」がSPVのエクイティーを保有し、取得資金の一部をノンリコース・ファイナンスにより調達。
2 ノンリコース・ファイナンスの効用
- ノンリコース・ファイナンスの本質的な効用は、①レバレッジ効果を利用したリスク・リターンとリスク・エクスポージャーの操作、②エージェンシー・コスト*2が高い企業の資金調達手段、③オーナーによる個人保証の回避。
- ノンリコース・ファイナンスの副作用として、信用リスクが増大。間接保有は直接保有と比べて「デフォルト・リスク」は全く同じでも、SPCのエクイティーというリスクが濃縮された資産を取得するため「回収リスク」が大きくなってしまう場合がある。
3 資産の証券化