ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

消費税の大幅税率アップは今後絶対に避けられないか?(JMM 05/23/05発行)

概要

真壁昭夫:エコノミスト 政府は2010年初頭に、一般会計予算から公債に関わる歳入・歳出を除外した基礎的財政を均衡させる目標を示したが、とても実現するとは考えられず、金利水準が上昇すると、負担は一度に増幅する。日本は、キャピタル・マーケットを基礎とする競争社会を目指すのか、北欧型の高負担・高福祉型の社会を目指すのか。その構図において、国民が受けるベネフィットと負担を均衡させるポイントを探るべき。
山崎元:経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 お金の融通の問題に「絶対に」避けられないようなことはなく、前提として「歳出削減は行わず」との問題のフレームは良くない。増税なしで経済的リスクを拡大するのでも、所得税・消費税の増税でも、個人としては対応策はあり、この問題故に個人が将来を不安に思わなければならないと言う問題ではない。
土居丈朗:慶応大学経済学部助教 基礎的財政収支を均衡に導くには、増税はやむを得ない。ただし、消費税だけを念頭に置くものではなく、まずは効率性を疎外しない消費税で増税し、後に所得格差が多少開く可能性を考慮して所得税増税するタイムスケジュールがよい。重要なポイントは、これで基礎的収支が黒字になるというわけではないことと、国とともに地方自治体の財政再建も必要と言うこと。
菊池正俊:メリルリンチ日本証券ストラテジスト 財政制度等審議会は①現状の財政規模を維持して消費税を19%に引き上げる案の外、②消費税を引き上げず国債費を除く一般歳出を3割圧縮する案、③消費税を12%に引き上げて社会保障費以外の歳出削減を組み合わせる案を提示しており、③が現実的な選択肢。
津田栄:経済評論家 消費税増税ありきという結論から導かれた机上の空論。むしろ、ある政策が実施されると、経済や国民に影響を与え、予想と異なる結果が生まれるためさらに困難な状況を生み出すこともあり得る。対応は、公務員のリストラ等で購うべき。

コメント ドーマーの定理(名目GDP成長率が名目利子率を下回れば、プライマリーバランスの水準にかかわらず、新規発行国債の名目GDP比率は一定値に収束)に言及する論者は皆無。よって、読者がこの問題から金融政策の重要性についての知見を得ることはできない。また、総需要に与える増税、歳出削減それぞれのマイナス要因について言及されることもなく、山崎元氏のように個人のサバイバルを論じるのでは、マクロの問題の軽視とも取れる。財政制度等審議会の報告に比べれば、津田栄氏の意見の方がよほど(批判ありきという結論から導かれた)机上の空論に見えるのだが。