備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

農業の競争力強化を唱える人々

ちなみに、日本の名目国内総生産に占める農林水産業の割合は1.3%(2002年)で、米国(1.4%、2001年)とほぼ同水準。英国は0.9%(2001年)、ドイツは1.1%(2002年)で、日本よりも低い。一方、就業者に占める農林水産業の割合(2002年)は4.7%で、米国(2.5%)、英国(1.4%)、ドイツ(2.5%)よりも大きい。各国の景況が異なり、完全雇用状態からの乖離の程度が異なる中では単純比較できないものの、仮に農業の競争力を強化しても、国内・国外需要の拡大や食料需給率の向上、或いは生産物の高付加価値化による経済成長率押し上げ効果は限られたものであり、むしろ農業部門から就業者が排出される(つまり、離農が拡大する)ことにより雇用環境は悪化するものと思われ。
一方で、農業の雇用吸収力に期待できるかどうかについてはpending。理屈としては、限界生産力がゼロになるまでは雇用吸収が可能。例えば、パソナグループ代表、南部靖之氏の試み。たたし、この試みには、輸入自由化という強い圧力の中にあって、果たして採算ベースを維持しうるのかといった開発経済的な問題をクリアする必要があるか。