吉本佳生「金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか」
金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)
- 作者: 吉本佳生
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/05/17
- メディア: 新書
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加えて、情報の非対称性があると同時に、一旦その価格が市場均衡から乖離すると、摩擦的要素が小さい分累積的な不均衡状態に陥り易い金融商品の持つ特性というものを考えると、それが端的に現れるのは保険商品*2だと考えているが、本書ではそれが扱われていないのが残念である。
なお、本書で取り上げられる金融広告は非常に多様でかつ確かに姑息な面も否定できない。このように多様な金融商品が生じることが、本来必要のない中間的な専門家層を生じさせ、ひいては顧客に付加的な費用を発生させているといったら下衆の勘ぐりであろうか。その意味で、最後に論じられる規制強化については、その考えの皮相さは否めない。規制というものは、必ずしも著者の考えるようなものだけではなく、会計基準、情報開示や契約時のあり方等「市場による規制」を働かせるための仕組みも含まれることを理解すべきではないか。*3本書は、金融商品を選ぶ際のガイドブックとしては良書であろうが、それにしては大風呂敷の感があり(「はじめに」での金融業界に対する罵倒や、前述の規制及び金融サービス環境に係る提言等)、より謙虚な姿勢が望まれるところ。