ベネット・マッカラム「金融政策の最適性に関する適切なパースペクティブは何か?」(IMES Discussion Paper Series)
1.はじめに
2.モデルの定式化の例
- 標準的に認められるモデルに基づき、中央銀行は、時間t=1において、条件式の条件の下で、次のL1を最小化しようとすると仮定。民間経済主体の割引率D_1は、中央銀行の割引率Dと異なり得るが、さしあたりD_1=Dと仮定。
- この設定では、確実性等価が成立するので*3、ラグラジアンをLag=Σ_t=1...∞ {D^(t-1)[(dp(t)-dp*)^2+wy(t)^2]+lamb(t) D^(t-1)[D_1 dp(t+1)+ay(t)+u(t)-dp(t)]}として、未定定数法により、pd lag/pd dp(t)=0, pd lag/pd y(t)=0を整理し、ラグランジェ乗数lamb(t)を消去することにより、次の条件を得る。
- (dp(t)-dp*)+(w/a)(y(t)-y(t-1))=0 t=2,3,...
- (dp(t)-dp*)+(w/a)y(t)=0 t=1
3.代替的なパースペクティブ
- 最適金融政策に係る第1のパースペクティブは、t=1時点の初期条件に基づく完全なコミットメント(CC)。このアプローチは、「戦略的矛盾」つまり政策運営開始期が終わってからこの政策が再考される時はいつも、t=1時点に示された最適化の条件とは不整合な最適化の条件を生みだし、この不整合が政策運営開始期で認識され得る、という範囲において「動学的不整合」。
- 第2は、裁量的タイプの最適化(DI:discretional)で、あらゆる時点でt=1の条件式が当てはまる。この場合、期待に有効に働きかけることができないので、そのパフォーマンスはしばしば劣る結果になる。
- 第3は、「タイム・パースペクティブ」(TP)に基づく運営方法で、コミットメントが非常に遠い過去に採用されたとして、t=2以降の条件式を政策運営開始期を含む全ての時点で実施。ただし、TPルールは、何時の時点においても逸脱する誘因がない、という通常の意味では、「時間整合的」ではない。パフォーマンスについては、妥当なほとんどのパラメータの値でDIよりも優れた結果を示す。
- 第4は、「定常状態の厚生」、すなわち、あらゆる実現可能な定常状態を比較した時に、1期間の目的関数の期待値のうち最もよいもの。ここでは、無条件期待値 E[(dp(t)-dp*)^2+wy(t)^2]を最小化するもの(FT)。*4
4.評価
5.持続可能性
6.結論
- TPルールとFTルールは、連続という望ましい性質を持つ。その性質は、中央銀行がある政策を後になって再検討しても、政策を継続することが望ましいと考えるものであるが、持続可能性の条件が満たされない場合、DIに戻る誘因がある。TP、FTルールについては、両者ともに魅力的で、どちらも他方に優越しない。
コメント ハリ・セルダンになりたくて経由。