ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

「A Working Model」(Economist)

  • IS(investment/saving) curveは財市場の均衡。投資=貯蓄となる産出量と金利の関係を示す(右下がり)。LM(liquidity/money) curveは金融市場の均衡。貨幣需要が供給と一致する産出量と金利の関係を示す(右上がり)。*1両者の交点において、財市場と金融市場の双方が均衡する。
  • 貯蓄が投資に対し増加すると、IS curveが左にシフトする。その際、交点の産出量・金利が下がるが、これは、近年の世界経済の高い成長率という事実にフィットしない。一方、世界的な金融政策の緩和がLM curveを右にシフトさせる場合、交点の産出量は上がり、金利は低下する。これは、事実によくフィットする。
  • 超過流動性は、インフレを生じさせないのか?IS-LM modelは物価水準の固定を仮定する。完全雇用の場合、貨幣供給の増加は、金利低下ではなく物価上昇を招く*2が、世界経済における中国や他の途上国の安い労働力の流入が、世界経済における物価の維持を助けている。

コメント 大竹文雄のブログ経由。また、当該記事に関するHicksian氏のコメントそもそもIS-LM modelは一国のマクロ経済の様子を説明するためのものであり、世界経済に適用するのはどうか。

*1:金利の上昇は、金利エクスポージャーのある債券等に貨幣が代替されることで、貨幣量を減少。所得が減少(産出量の低下)すると貨幣需要が低下し、金利が上昇。

*2:AD-AS分析において、AS曲線は完全雇用水準で屈折。田中秀臣「経済論戦の読み方」p.81参照。