ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

雇用形式などに関する備忘録的整理(その2)

前回の続き。前回は、日本的な長期・安定的な雇用システムを福祉社会の機能として考えること、また、若年層については、合理的な個人としてみなしうるケースが相対的に少なくなるため、この層について、外部労働市場で評価され得る限りでの「資産」の所有者として位置づけ、社会の中で評価してしまうのはいかがなものか、という論考をした。今回は、この点について、成長率至上主義的な観点から、その能力の付加価値を高めていくことが必要であるとの点から論を補強し、加えて、こうした論に対する異論を一つ取り上げてみる。
社会が「ゼロサム」を超えて、活力を確保していく上では、成長率を確保することが重要である。成長率を確保していく上では、サービス経済化や知識集約化が進む現代、特に、労働者の技能を高めていくことは重要だと言えるだろう。その上で、日本的な長期・安定的な雇用システムが持つ技能育成システムを超えるような、代替的なシステムというものは構築可能なのだろうか。恐らく、付加価値の追求に高いインセンティブを持つ企業が構築するシステムを超えるようなものを「社会的に」構築することなど不可能なのではないか。とすれば、この観点から、前回の議論は補強され得るように思われる。*1
一方、若い人がそれを望むのなら、もっと多様な働き方を認めるべきだ。その際、技能の育成が大事だというのならそれは「社会的な」育成システムを構築すべきなのだろう。その際、そこに生じる格差は納得の上のものであり、問題にはならない、という異論はあり得べきものであり、正当なものでもあろう...とまあ答えがあるわけではないので、また次回に続く。(たぶん)

*1:相変わらず「今風の主流派」とは異なる考え方である。「今風の主流派」の考え方は、世代間の格差を解消するためには、若年者が雇用の場へ参入することが容易になるよう、より流動的な雇用システムを構築すると伴に、同一価値労働の均衡処遇を確保すべきということらしい...orz