備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

高橋昌明「二極化はなぜ進むのか?再分配強化は必要か?」(大和総研)

  • 単純なコイン投げゲームでは、ゲームを十分な回数繰り返すと、持ち金が多いと少々負けこんでもゲームを続けることが可能だが、持ち金が少ないと金がつきてゲームオーバーとなるため、一部の者に金が集中する一方で、金がつきる者が続出する「二極化」が生じる。
  • 現実の経済が運の要素を多分に持つことを考えれば、経済活動から脱落する者を減らすため、二極化メカニズムを補正する再分配メカニズムの導入は有効。
  • 人間には運を実力と思い込む自信過剰の傾向があることが行動経済学で明らかになっていることも考慮する必要があり、また、こつこつ努力する人を減らす経済構造が、日本経済の安定成長を保証するとは考えにくい。

コメント 確率論や行動経済学の理論の観点から、格差問題に係る上記のような議論がでてくるのは新鮮。ただし、現代の日本社会は「二極化」や社会階層の固定化が懸念されるのか、その「兆候」に関する議論は多々みるわけであるが、具体的な「証拠」を実証面から見つけ出すことは難しい。