ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

「水野委員の講演で思うこと=生保の逆ザヤ問題」(本石町日記)

http://hongokucho.exblog.jp/m2005-12-01/#3903084

 逆ザヤ問題があるのになぜ経営は安泰なのかと言えば、市況好転はさることながら、生保独特の収益構造にカラクリがある。具体的には、収益源は大まかに「利差益」、「費差益」、「死差益」の三つ(いわゆる三利源)に分かれ、逆ザヤはあくまでも収益構造の一部分の話に過ぎないことだ。
 このうち、益が大きいのは「死差益」であり、知り合いの生保関係者によると、簡単に言えば、予想していたほどに契約者が亡くならないために、保険金支払い負担が少なく、その分が生保の収益になっている、という構図だ。すなわち、契約者は保険料を払い過ぎているとも言え、大手生保の知り合いいわく、「死差益は契約者に戻すべき、という筋論も成り立つ」と考えられる。

 逆ざや額は、(実現利回り−予定利率)を責任準備金に乗じて計算され、フローの問題として処理される。しかし逆ざやは、本来は生保のバランスシートの問題であり、負債を(国際会計基準的に)「公正価値」で評価すれば、確かに、逆ざやの影響により生保のバランスシートは多大な影響を受ける。

 死亡率に対する安全割増が過大であることによって生じている「死差益」(本来は配当すべき財源)の黒で「利差益」の赤を埋め合わせるというのは、契約締結時期の違う契約者間に不合理な富の移転を生じさせているようなもの。結果的に、「それを不合理というなら、予定利率の引き下げが必要」といった話になる。*1リストラ等にともなう「費差益」も、契約者間に平等に配分すべきものと考えれば、これをもって逆ざやの埋め合わせに当てることにも幾分の不合理さが残る。

*1:制度的には可能だが、民事的に「契約不履行」にあたるかどうかの問題が別途残る。このリスクに加えて、風評リスクが大きいため、実際に適用するのはほぼ不可能(たぶん)。