備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

「中高年の既得権と若年雇用」(吐息の日々〜労働日誌)

 私は90年代という時期、あるいは日本の労働市場という特殊性を考慮に入れれば、既存正社員の賃金を引き下げることで(若年に対する)正社員雇用の需要が増加するとしても、それには相当程度の大幅な賃金引き下げが必要であり、さらに需要増加の効果も限られていたのではないかと思います。したがって、それで若年の格差拡大を防げた効果も大きなものではなかったのではないかと考えています。(中略)
 正社員の賃金と貢献度の関係を確認しておくと、多くの企業では、入社後何年かは賃金が貢献度を上回っている、すなわち人材投資の段階であり、その後、賃金を上回る貢献を期待することで投資を回収し、さらにある時点からは貢献以上の賃金を約束することで長期勤続と能力向上を促してきた、という状況があったものと思われます。
 したがって、若年はたしかに賃金は低いでしょうが、当然ながら貢献度も高くはありません。しかも、若年は退職のリスクも高く、人材投資を回収しないうちに退職されてしまったのでは企業にとっては損失です。また、採用してみたものの期待はずれだったというリスクもありますし、今後40年間固定的なコストになってしまうということも考える必要があります。

コメント 重要な指摘。