ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

「真の失業率」と労働力人口の変動

 BI@Kでは、毎月、「真の失業率」なる試算値を掲載している。これは、(1)完全失業率の分母である労働力人口について、労働力人口比率が0.64(直近ピークの1992年)であると仮定し、これを15歳以上人口に乗じた値とする、(2)完全失業率の分子である失業者数を(1)より算出した労働力人口から、就業者数(公表値)を減じた値とする、として、これらから算出した完全失業率を「真の失業率」と呼んでいる。労働力人口(完全失業者数)には、労働市場環境に応じ、就業意欲を喪失した者が労働市場から退出することで、過小に評価される効果がある。一方、就業者数を経済規模(環境)に応じて決まる値と考えれば、上記の効果により過小評価される労働力人口と完全失業者数を基準年に固定し、当該経済規模(環境)だけに左右される完全失業率の推移をみることができ、これにあたるものが「真の失業率」であると考えることができる。
 その結果、05年において4.4%である完全失業率は、「真の失業率」では9.8%であるとされているが、この差はあまりにも大きい。これは、当該エントリーにも注記されているとおり、「少子高齢化の進展による労働力人口比率のあり得べき低下は考慮していない」ためである。これについては、上述した労働力人口比率(92年)×15歳以上人口の計算式を、年齢階級別に計算したものの和とすることにより、その効果を概ね取り込むことが可能である。なお、このように計算した結果が、下のグラフである。

 05年でみると、完全失業率が4.42%であるのに対し、「真の失業率」は9.73%、補正後の「真の失業率」は6.19%である。このように、人口構成の変化を取り込むことにより、「真の失業率」は通常の完全失業率にかなり近づくが、依然としてその水準は高く、92年と比較すると、就業意欲喪失効果が大きいことが伺える。
 このように、労働力人口の変化 LF(t)-LF(t-1)には、(1)少子高齢化等人口構成の変化による減少要因 Σri(t-1)・{Pi(t)-Pi(t-1)}と、(2)労働市場環境に応じた増加(減少)要因 ΣPi(t)・{ri(t)-ri(t-1)}*1、があり、(1)については、年齢階級別の労働力人口比率が一定であったとしても、年齢階級別の15歳以上人口が変動することにより生じる変化差であるとして抽出することが可能である。このようにして計算した労働力人口の前年差が、下のグラフである。

 (1)の人口構成要因は、一貫して低下しており、少子高齢化の影響が現れている。一方、(2)の労働市場要因は、98年以降一貫して大きなマイナス要因となっていたが、05年になって、ようやくその効果は縮小している。

*1:この要因には、女性の社会参加の高まりによる労働力人口比率の上昇効果等も含まれることに留意。