ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

日本銀行「金融市場調節方針の変更について」

 金融市場調節金利について、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.25%前後で推移するよう促す」とすることに変更。なお、報道によれば、「連続利上げ意図せず」とのことであるが、市場との対話ではその言葉が「信認」されているかが重要な要素であり、経済主体の期待に影響を与え得るかは疑問もあるか。なお、最近の物価と失業率の相関関係(いわゆる「フィリップス・カーブ」)をグラフにすると、以下のようになる。

 物価については、現時点においては、「新たな金融政策運営の枠組み」(03/09付けエントリー参照)として示された目標水準(0〜2%、グラフの網掛部分)の中間値にも達していない。
 ただし、失業率については、3%台が間近に迫っており、仮に、現在の4%程度の水準が「自然失業率」の水準に当たれば、このまま物価を加速させ、景気を過熱させる懸念はある。実際、4%程度の失業率の水準を構造的・摩擦的失業率とする推計も存在している(UV曲線に基づく均衡失業率の推計値や期待修正フィリップス曲線に基づくNAIRUの推計値)。しかしながら、現在の経済環境からは、賃金や物価が加速度的に上昇するような様相は伺えない。また、景気回復の波及も地域や属性に応じてまだら模様である。当該推計値を現実の経済にあてはめることの妥当性については、十分留意してみておく必要があろう。
 なお、近年のGDPGAPの縮小や企業設備の拡大傾向を考えた場合、今の金利水準では近い将来に景気の過熱をもたらすことへの懸念から、若干の利上げをしつつ将来的な低金利についてコミットメントを果たした、との読みは可能であるが、いずれにしても、金融政策に対する信認の程度が重要である。