ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

「一部門、固定係数生産関数による日本経済の現状の分析の試み(その1、その2)」(労働、社会問題)

 ここでのコメントに付け加えるべき点として、このモデルには、(所与である)有効需要が足りない場合、政府支出を拡大しそれを補うことで、均斉成長水準を確保することが出来るという含意がある。ただし、総需要は内生化されないので、今期の成長水準は翌期の成長水準を保証するものではない。さらに、このモデルから得られる政府の役割に関する含意は、「期待」のメカニズムを考慮しない範囲でのものである。「期待」のメカニズムが働き将来が現在を規定する場合、政府支出の効果はモデルの含意に反して限定的なものとなろう(リカード立命題)。
 この議論の関連ということで、次回は伊藤宣広「現代経済学の誕生 ケンブリッジ学派の系譜」を取り上げることとしたい。


(追記)「期待」の取り扱いに係る平家さんのエントリーと、自分のコメント