備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

加藤涼「新しいISLM/ADAS分析−動学的一般均衡モデルの紹介」

http://www.ryokato.org/genmac/NISLM.pdf
 原油価格上昇率の変化がインフレ率の変化に与える影響(感応度)をパス・スルー率と呼ぶが*1、その値は長期的にみて現在かなりの低水準。この理由として、一般には、①原油依存度の低下、②原油価格が製品価格へ転嫁し難くなっていること、等の構造要因が指摘されている(この場合、金融緩和政策がインフレ率に与える影響は小さくなる)。しかし、New IS-LMモデルによれば、パス・スルー率は金融政策ルールに依存したバイアスを持ち、「タカ派」的な金融政策への期待は現在のパス・スルー率を引き下げる効果を持つ。(ルーカス批判の検証)

*1:フィリップス・カーブを dp(t)=b1dp(t-1)+b2y(t-1)+b3υ(t) υ:原油価格上昇率 とした場合のb3に該当。