ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

山本祥司「内部統制をどう捉えるか」(第一生命経済研レポート)

コメント 2006年5月から連載中で、現在第9回。内部統制の制度の説明から始まり、統制自己評価(CSA)の仕組み等についてわかり易く解説されている。漸く、最新時点まで追いついたところ。
 第3回の連載において、内部統制の役割について、コーポレート・ガバナンスが規律できる対象は経営管理機構しかないため、法律で、経営管理機構等に内部統制を整備・検証させる役割を担わせ、それを外部からもチェックできるようにすることとされ、内部統制の制度化により、企業の内部は今や外部と完全に切断された存在ではなくなった、と解説されている。このことは、内部統制の制度化の経済的意味を考える上で示唆的である。
 内部統制の制度化は、企業経営者と企業の外部にいる資金提供者の間の情報非対称性を緩和し、情報非対称性を補完するためのコスト(エージェンシー・コスト)を低下させる。近年、メインバンク・システムの弱まりが指摘されるが、それを補完する意味で、金融の仕組みの中での資本市場の役割は高まる。その点から、内部統制の制度化の必要性も高まってきたと考え得る。
 統制によってリスクは管理されるが、リスクも統制も、あくまで目的があってのものであるとのフレーズは繰り返し出てくるが、このことは、統制に伴う業務の非効率化等に陥らない上で重要。今後は、長期的な視点に立ち、内部統制制度化のコストと便益について議論が深まるものと考えられる。