ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

長期雇用は変化しているか?

 先日のエントリーに関しmixi方面にて議論があり、そこでの論点の1つに「解雇規制の緩和により、日本企業には(これまでの)長期雇用とは異なる新たな形態の雇用契約を志向する動きが生じるのか」というものがあった。ただし、あるアンケート調査結果をみると、今後も長期雇用を重視するとする企業が多い。
 ここでは、参照する時点を「過去からこれまで」という形に変えて、平均勤続年数に関するデータからこれまでの傾向的変化を簡単に分析してみる。
 まず、1985年から2005年までの平均勤続年数は次第に伸長している。しかしながら、年齢計の平均勤続年数は、労働者構成の高齢化に従い長くなる。また、企業のいわゆる「リストラ」等にともない、98年と02年に急激に非自発的離職失業者が増加しているが、その影響がどの程度だったのかはこれだけでは分からない。
 そこで、平均勤続年数の伸長を、①年齢構成変化要因と②年齢別勤続年数変化要因の2つに分解してみたのが下のグラフである。

 ①については、各年間ともに明らかにプラスに寄与しているが、②については、90年代前半まではプラスに寄与していたものの、00-95年にはその効果がほとんど無くなり、2000年以降はマイナス寄与となっている。②について年代別にみたのが下の表である。

 05-95年、05-00年の35〜54歳がマイナス寄与となっており、この期間、この世代の離職・転職が多かったことを伺わせる。一方、55歳以上では一貫してプラスである。
 結論的には、近年、個別労働者の平均勤続年数は低下しているが、その中には、デフレ・長期不況という循環的要因も含まれており、長期的に個別労働者の平均勤続年数が低下する傾向にあるのかは分からない。加えて、この分析では、高学歴化や産業構造変化の影響は捨象されており、より厳密にはこれらの効果を含めた多次元データにより分析する必要がある。
 なお、データの出所は以下の通り。(特に、最初に挙げたシステムは、結構便利です。)