ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

村山治「特捜検察VS.金融権力」

特捜検察vs.金融権力

特捜検察vs.金融権力

コメント 90年代以降の金融システムの変化の背景にあった事件について、検察当局と金融(・税務)当局との緊張関係を基軸にして描き出す。特に検察当局内部の勢力関係・統治のメカニズムから個々人の行動やその思いまでが生き生きと描かれる。事件の構成次第では、被疑者にも被害者にも成り得る恐ろしさ*1、それまでの原理・原則が通じない大きな変化の過程にあった時代の難しさ。マスコミに描かれる表面的な図式だけでは見えてこない現実、リアルなものがあることは、時間を経て、こうした形で表に現れてくる。*2現在は、本書の冒頭と最後に戯曲的に描かれるように、あらたな秩序の下に在るのかも知れない。その一方で、企業開示・監査、金融商品取引を巡る秩序の構築は、これからの課題として残されているのだと思う。
 なお、この本に関する感想を元マスコミ関係者が書かれているが(阿部重夫氏池田信夫氏等)、いずれも面白いので併せて読まれたし。

*1:誰もがそれなりに脛に傷を持つということなのだろう。その点は、最近何かと話題であるが、マスコミの世界にも共通するのではないか(ゴミ投資家シリーズ等を参照)。

*2:一方、小泉内閣以降、特に竹中大臣と金融当局幹部との関係については、あっさりとした記述に止まっている。