ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

「中間所得層」消費ウェイトの高まりの真相

 「中間所得層のウェイトが高まる日本の消費 」(02/22付けエントリー)では、

  • 1999年から2004年にかけて、年収300〜600万円の中間所得層の構成比が高まり、当該層では同時に1世帯当たりの消費支出をも増加させている

ことを指摘したが、この「中間所得層」という言葉は、文章から明らかなように、年間収入の絶対水準から当該年収階級をそのように命名したものである。実際には、グラフから分かるように、所得水準が全体的に下方へシフトしているので、ラチェット効果が働けば、より年収の高い層からの移行によってその構成が高まった当該層の1世帯当たり消費支出が増加することはあり得る。
 ここでは視点を変え、年間収入の相対水準から、『中間所得層』の消費支出の構成がどう変化したかをみることとし、年間収入5分位階級別のデータを用いて同様の分析を行ったのが下の表。

 これをみると、年収階級別の消費分布には殆ど変化がないが、強いて言えば、年収の高い層と低い層の消費構成が高まり、『中間所得層』の消費はむしろ低下している。特に年収が最も低い第Ⅰ分位の消費構成が高まっている。前回の分析の含意は、相対的な年収階級別の消費には大きな変化がないことから、世帯年収が当該5年間に全体的に下方へシフトし、ラチェット効果が働いたことによって、年収が低い層の消費構成が高まったことにあると考えられる。個々の世帯の消費行動には大きな変化はなく、マクロ経済全体としての所得水準の低下が、この間の重要な変化であると言えよう。
 なお、当該エントリーには、はてなブックマークにて、「中間層が高まる理由が想像できないんですがなんででしょうねえ」(id:sdmt)とのコメントがついたが、上記の事実より、「より上位の所得層からの移行によって当該年収階級の構成比が高まったため」ではないかと考えられる。