備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

井上昭一・藤井光男編著「現代経営史 日本・欧米」

現代経営史―日本・欧米 (叢書 現代経営学)

現代経営史―日本・欧米 (叢書 現代経営学)

 第3章「構造不況以降における日本型企業社会」まで。1950年代半ば以降の「高度経済成長」の要因について、戦後民主主義の理念と制度の経済的枠組み(日本における軍事支出負担の少なさ等)を挙げ、企業の資本蓄積意欲を刺激したのは、①欧米に対する技術的後進性、②企業集団間の激しい競争、③貿易・為替の自由化と資本の自由化の進展、とする。高度経済成長は、重化学工業化の過程であり、大企業の設備投資と輸出が主導。一方、国内需要に関する記述として特記できるのは、1955年以降の生産性向上運動と労使協調路線。
 ニクソン・ショック(1971年)、オイル・ショック(1973年)以降の経済危機を乗り越えた要因は、ME化等による「減量経営」の成功とトヨタ生産方式の広がり等に求めている。
 労働需給要因や、金融政策の影響等には触れられていないが、戦後経済の流れをみる1つの視点として読んでみたもの。