備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

労働分配率の「適正水準」について

 労働分配率に関して、かつて以下のようなエントリーを立て、その「適正水準」を決めることは、短期的にも長期的にもできないと論じた。

しかしながら、過去のデータから、長期トレンドを抽出することで、それを概ねの「適正水準」とみなすことは可能である。試みに、そのオーソドックスな手法であるHPフィルター*1を用いて、抽出された労働分配率の長期トレンドと実際の労働分配率とを比較してみたのが下のグラフ。

 これによると、今回の景気回復に伴い大きく低下した労働分配率は、長期トレンドからみた「適正水準」よりも低い水準にある。ただし、長期不況の影響は、明らかに長期トレンドにも及んでおり、このトレンド線の中にも循環要因が含まれる可能性はあり得る。*2

*1:λ=100。

*2:同様の問題は、日本銀行によるGDPギャップの推計や、可変NAIRUの推計などにも生じる。なお、私家版可変NAIRUの試算について、近々エントリーする...かもw