蘇る再保険の問題
最近の米国サブプライム・ローンの延滞率の上昇が、様々な債券等を通じて分散されているリスクの顕在化を通じて、国際的な金融市場に混乱を招いているという事態は、2001年の9.11同時多発テロに端を発した再保険の問題と非常に類似的です。この時は、フォートレス・リー(FR)という再保険のブローカー(直接保険責任を保有している会社ではない)を通じ、航空再保険を保有していた日本の数社の保険会社が多額の損失を出しています。詳しくは、こちらの記事などを参照。
- 「合併延期!損保ジャパンはどうなるか」(プレジデント)
この様な大事件が生じれば、再保険市場の価格である保険料が高騰します。(なお、FRの問題は、9.11テロによってトリガーを引かれたことは事実ですが、むしろリスク管理の問題であり、適切なリスク管理がなされていれば必ずしもこうした問題は生じなかった可能性が高いと思われます。)これは、サブプライム・ローンの問題に端を発する流動性の縮小と類似的なものと考えることが出来るのではないでしょうか。
これらはいずれも、本来、リスクを分散することを意図する債券、金融派生商品や再保険という機能によって、最終的なリスクが何処にあるかが見えなくなるというシステミック・リスクの問題であります。特に、各国の監督当局が管下の保険会社に対してリスク管理の強化等を求めることで*1、一定の問題の解決が図れる再保険の問題と異なり、当局による監督が及ばないヘッジファンドが相手となると、同様の問題はいずれまた生じるかも知れませんね。