ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

中山元「フーコー入門」(2)

フーコー入門 (ちくま新書)

フーコー入門 (ちくま新書)

 標記の本について、アマゾン用に改めて感想を。

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近代の権力に抗う方策

 ミシェル・フーコーの思想に関する簡潔なまとめ。その中で、フーコーの指摘する近代の福祉国家の権力の特徴について、次のように述べる。フランス革命以前は、王は、死を与える権力であった。革命による王の死後、市民社会の権力は、生を与える権力〈生−権力〉に変質する。社会が生物体のように存続することを自己目的化し、社会の構成員をよりよく〈生かす〉ことが重要な課題となる。こうした近代の権力は、かつての規制する権力と異なり、他者との関係の網目から発生するものである。
 フーコーは、近代の権力に抗う方策として、(1)自己と自己の欲望を放棄しないこと、(2)真理の概念を放棄し、それをゲームとみなすこと、という2つの可能性を示唆する。正常性と規範性を強調する社会に対し、自己の欲望の充足、生存と幸福の実現を求める権利を対置すること。真理は絶対的なものではなく、自由な主体の行為としてしかあり得ない−−全ての主体は、自分なりの真理の確立に参加することができること。これらが、権力を変質させ、この社会の「仕組み」を変えることにつながるのだ。