ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

2008年6月データによる更新

 コスト・プッシュ・インフレが継続する中、雇用情勢は悪化の懸念。将来的には、右下方向へのポイントの異動がはっきりしてくるだろう。ちなみに、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合は0.1%増(前月0.1%減)。
 最適金融政策は、下に示される厚生損失を最小化するべく実施されることが基本である。
(インフレ率)+α・(産出量ギャップ)
その意味では、賃金、国内物価が上昇せず、完全失業率に上昇懸念がある中で、消費者物価を基準に単純に政策金利を上げるべきでないことは明らか。なお、今回公表された消費者物価と金融政策に関する記事としては、下のエントリーが参考になる。

現在のエネルギーと食料が先導するインフレが、私の言うところの一般物価水準の上昇、昨夜も取り上げたアジア開発銀行 (ADB) や国際通貨基金 (IMF) などの国際機関の言うところの2次インフレに展開するには賃金の上昇が十分条件になります。(中略)そして、現在の相対価格の変化に基づく物価上昇が賃金の上昇につながるかどうかは、労働市場の柔軟性と国民のインフレ期待がキーポイントになります。私の直感ですが、日米欧の先進国において、特に、日米両国においては労働市場の柔軟性がかなり確保されている印象があります。

 加えて、日本ではインフレ期待が高まっている可能性は低く、日銀は、「物価安定の理解」の上限である2%を超えても政策金利の引き上げはすべきではないとしている。

 他に、下の若田部先生によるVOICE記事も参照。

 現状では何をすべきか。いずれにせよ企業は価格を調整する必要がある。その調整過程を速やかに進めるためには、実際には少し金融緩和をして、消費者の懐を温めてやればよい。とくに日本の場合は食料品とエネルギーを除いた分については、まだインフレではなくデフレが継続しているのだから、金融緩和の余地がある。もちろん、あまり金融緩和をしてしまうとインフレ期待が高まりすぎて、インフレも高くなりすぎるだろう。だからインフレ期待を安定化させる何らかの仕組みが必要になる。

 金融政策以外では、(1)最低賃金の引き上げがどの程度の幅で実施されるのか、(2)来年の春闘に向け、労使間の協議がどのように進むのか、が気になるところか。