今年の10冊
毎年の恒例行事です。これをもって、今年最後のエントリーとしよう・・・とも思いましたが、フィリップス・カーブが残っているので、もう少し続きます。なお、英語練習の方は、ひっそりと継続する予定です。
(過去のエントリー)
デヴィッド・マースデン「雇用システムの理論 社会的多様性の比較制度分析」
この本のエントリーに比較的多くのブックマークをいただき、書いた甲斐があったと感じ入っております。
野村正實「日本的雇用慣行 ─全体像構築の試み─」
まだ最後まで読んでいませんが、今年一押しの書籍であることに間違いないでしょう。マースデンの本のように、比較制度的、演繹的に分析したものとは違い、歴史的視点から豊富な事例をもとに、日本の雇用慣行の全体像を描き出そうとしています。
著者は、知的熟練論(小池和男)の批判者として、よく知られた存在です。
J・M・ケインズ「雇用、利子および貨幣の一般理論」(上・下)
さまざまな意見が方々でみられましたが、ハンディーな「一般理論」翻訳が出たことには、大きな意義があります。
堂目卓生「アダム・スミス 「道徳感情論」と「国富論」の世界」
アダム・スミスの幸福論に関する部分を整理しようと思いつつ、結局、はたせませんでした。同時期に、母親から受けた恐怖と懸念からアダム・スミスの(ネクロ)経済学は生まれたとする、ある「過剰な自我」を抱えた経済学者の本が話題となりましたが、それに対する「解毒剤」の意味でも、本書がこの時期に出版されたことには意義深いものがあると思います。
大竹文雄「格差と希望 誰が損をしているのか?」
わたしの感想は、やや批判的な要素にバイアスがかかっています。大竹先生の文体から受ける誠実な印象には、いつも感銘を受けております。