備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

昨年の13冊

 昨年の『今年の…冊』では、たった3冊しかあげませんでしたが、改めて、エントリーを起こしたいと思います。以下、順不同で。

  • 竹森俊平『資本主義は嫌いですか それでもマネーは世界を動かす』

 既出です。*1

 クルーグマンに関しては、既出にもう一冊加えます。現代的文脈の中にケインズを活かす上で、クルーグマンの緒論は欠かせないものだと思います。*2

 既出です。*3

  • T・コーエン(高遠裕子訳)『インセンティブ 自分と世界をうまく動かす』/R・セイラー、C・サンスティーン『実践行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択』

 行動経済学に関わるこの2冊は、避けて通ることのできないものでしょう。前者における「自己欺瞞」、後者における「リバタリアンパターナリズム」は、ともに示唆的な概念でした。*4

  • 阿部彩『子どもの貧困 日本の不公平を考える』/駒村康平『大貧困社会』

 貧困に対する国家ないし社会の役割を強調する書の中から、この2冊をあげます。後者における「公的支援による能力開発とキャリア・ラダーの仕組みの確立」という提言は、その後、ことあるごとにとりあげましたが、ときにフリクションを生むものでもありました。*5 / *6

 これも前書との並びであげておきたいと思います。十数年ぶりに読み返しました。現代的文脈においても、富永社会学は改めて読み返される必要があるでしょう。

 考えるきっかけを与えてくれた、という意味で、本書は読むべきものでした。*7

  • 濱口桂一郎『新しい労働社会 雇用システムの再構築へ』

 政策論の部分については、いま改めて検討する余裕はないです。しかしながら、「ステークホルダー民主主義」という最後の提言だけをとっても、本書はここに掲げるべきものだと思います。

 これも十数年ぶりに読み返しましたが、重要な示唆を与えてくれるものでした。先日とりあげた武田晴人の仕事観と対比させることができますし、その比較のベースにおいては、マルクスによる価値の捉え方が関わります。*8

 ニーチェレヴィナスを対比的に捉えたところが、特に示唆的でした。*9