ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

東北・関東大震災の経済的影響を考える(1)

※表題を変更しました。(03/22/11)

 3月11日の地震では、東北地方太平洋沿岸を中心に甚大な被害が生じました。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 大震災の直後は、まずは人命救助と被災された人々に対する生活支援が優先されることになるが、時を経るにしたがい、これにともなう経済的な影響や雇用への影響が議論されることになる。今回の震災は、地震の規模、地域的な範囲とその産業構造、また今回特に問題とされている電力供給面での制約など、1995年1月の阪神・淡路大震災とは、単純に比較することのできないものであるが、これから先の経済動向を考える上での参照点とするため、1995年前後の近畿地方における経済指標の動向を全国と比較してみておくことにしたい。

 まずは、実質GDPであるが、震災が起きた1994年度の実質GDPは、全国はプラスであったのに対し、近畿地方はマイナス1.3%となっている。しかし翌年度以降は、全国よりも高い伸び率となる。この動きには、震災直後の経済への打撃とその後の復興需要の影響が反映されていると考えられる。

 一方、雇用への影響を完全失業率の前年差によってみると、震災前の1993年より近畿地方の雇用情勢は、全国と比較して悪化する傾向がみられ、震災が起きた1995年において目立った動きをしているわけではない。また、震災後の1996年は、相対的に雇用の悪化は小さなものとなり、1997年は、全国の雇用情勢が悪化しているのに対し、近畿地方ではわずかながら雇用は改善している。

 こうしてみると、震災直後には経済に対する影響がみられるが、その後は復興需要により、震災地域の経済は回復することが見込まれる。
 くりかえしていうまでもないが、今回の震災を1995年の震災と単純に比較することはできず、今後とられ得る経済・雇用対策の規模等がそれと同等のものとなるかどうかも不明である。とはいえ、2008年秋に始まった金融・経済危機のときには言い知れぬ不安感だけが感じられたが、震災後の経済では、その直後には経済の供給力に大きな打撃を与えるにしても、その後のことも踏まえれば、単純な経済の収縮だけが生じるわけではない。