ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

景気回復にともなう雇用の改善には、世代ごとに異なる動き

 以前のエントリーで、パート・アルバイトで就業する有業者とパート・アルバイトでの就業を希望する無業者を合計した、いわゆる「フリーター」の属性に相当する者の数を年齢階級別(5歳刻み)に集計し、5年ごとに実施される調査(就業構造基本調査)により、各世代ごと(コーホート別)の「フリーター数」が、年を重ねるごとにどのように推移するかを分析した結果について紹介した。
 このエントリーの内容を要約すると、

  • フリーター数は、20〜24歳で最も数が大きく、この数は当該世代が年齢を重ねてもそれほど減少しない。すなわち、フリーターには「階層化」の傾向がみられる。
  • ただし、唯一の例外が1987年調査と1992年調査の間であり、1962〜67年生まれの層のフリーターは、この間、約半分程度に減少している。
  • フィリップス・カーブによれば、この間は自然失業率に近く、概ね完全雇用が達成されていたことから、このことがフリーターの減少にも寄与したと考えられる。

ということになるが、この分析は2002年までの結果の分析に止まっている。就業構造基本調査はすでに2007年調査の結果が公表され、2012年調査の結果は7月に公表される予定であることから、個票の利用ができれば、同様の分析を引き延ばして実施することは可能である。ただし、公表データからでは無業者の結果が10歳刻みの集計値に止まっているなど、分析には制約がつくことになる。
 このため、分析を有業者に限定しパート・アルバイトで就業する者とするが、このままでは当時大きく増加した派遣社員などが含まれないことになるため、パート・アルバイトで就業する者にその他の非正規職員・従業員を合計し、当該人数が2002年から2007年までの間にどの程度変化したかを世代別に確認した。その結果は、以下のようになる。



 この間、景気回復期にあり、新規学卒者の就職状況も改善していたが、2007年もほぼ同数の非正規職員・従業員数(約2千人)が20〜24歳層にみられる。
 これを世代別の変化でみると、1977〜82年生まれの層では、約2千人から約千7百人程度まで非正規職員・従業員の数は減少している。ただし、その下の世代をみると、その数はむしろ増加している。この分析を人数ではなく、役員を除く雇用者全体に占める割合にしてみても、やはり同様の結果となり、1977〜82年生まれの層では比率が大きく減少している一方、1972〜77年生まれの層より年齢の高い層では、この間比率が上昇している。

 このように、2002年以降の景気回復は、大幅に増加していた20代前半層の非正規職員・従業員数を減少させることに寄与しているが、より広い世代の雇用の改善に寄与するまでには至っていない。一方、1987年調査と1992年調査の間にみられる雇用の改善は、より広い世代にわたってみられるものであり、この点において2002年以降の景気回復とは異なっている。景気に対する感応度が大きい若年雇用は、景気回復の初期から改善がみられるが、20代後半以降の年齢層では、雇用が改善するために、労働市場がよりタイトな状況になることが必要だといえる。
 なおこの分析は、性別に行うことや地域のデーターを用いて行うことも可能であり、また機会があれば試みることにする。