ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

真の失業率──2013年8月までのデータによる更新

 完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。

 完全失業率(季節調整値)は4.1%と前月から0.3ポイント上昇しているが、真の失業率は前月に引き続き順調に低下している。報道では、完全失業率が上昇した要因を「景気回復を背景に、新たな職探しや転職に動く人が増えたこと」(日本経済新聞)としているが、これは景気回復期において「就業意欲喪失効果」の逆方向の効果が働いたことを言い表しているものであり、この見方は、今回の真の失業率の動きと整合的である。ただし、経済指標を全体的にみると、これまでのような右肩上がりの景気回復傾向とは異なる微妙な動きがみられることも事実であり、例えば、日銀短観の業況判断(D.I.)は先行き弱めの数字となっており、ハローワークの新規求人数は2カ月連続で減少している。

  なお、8月の消費者物価の上昇は、引き続き輸入物価上昇が主因となっており、需給ギャップの改善(コアコア部分のマイナス幅の縮小)は、8月は停滞した。対ドル相場での円安傾向はこのところ一服しており、現在のような形(コスト・プッシュ型)での物価の上昇は、遠からず落ち着いてくるものと考えられる*1

 先月にも述べたとおり、完全失業率が高止まりする中で物価だけが上昇した2008年のような状況にならないかどうかが、今後注視すべきポイントである。輸入物価の上昇が落ち着いてくる中で、需給ギャップの改善にともなう物価上昇圧力が継続すれば、来年に向け、賃金の増加が期待できる環境が整うことになる。
  
https://dl.dropboxusercontent.com/u/19538273/nbu_ts.csv

*1:内閣府『消費動向調査』を用い、カールソン・パーキン法による期待インフレ率(1年後)を試算してみると、5月以降は概ね横ばい。