ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

真の失業率──2014年10月までのデータによる更新

※物価と給与の推移について追記しました。(12/04/14)
 完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果 (就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。

10月の完全失業率(季節調整値)は3.5%と前月よりも0.1ポイント低下した。真の失業率も3.7%と0.1ポイント低下した。完全失業率は、足許、総じて横ばいであるが、真の失業率の低下は順調であり、完全失業率との乖離幅は0.2ポイントとなった。
 季節調整値でみた雇用指標の動きは一進一退であり、雇用情勢には今だ改善のモメンタムが感じられるものの、先行きの評価は困難である。ハローワークの求人の動向も、やや気がかりである。

 ただし、景気の全般的な動きとしては、このところの足踏み状態が8月で底を打ったようにもみえる。日銀の追加緩和が功を奏せば、先月指摘したように、一人平均給与の(物価上昇を超えない範囲での)緩やかな上昇が、労働需要側のインセンティヴを通じ、雇用改善のモメンタムを維持させる可能性がある。この場合、実質賃金は引き続き減少するが、消費税率引上げの延期によって家計マインドが改善することも考えられる。

 こうした点を踏まえ、現在、雇用の先行きについては、やや楽観的になりつつある。

(追記)
  10月分までのコア物価と所定内給与(規模30人以上)の相関をとると、つぎのようになる(10月の給与は、速報値のもつ上方バイアスを前月の寄与度をもとに 試算し除去)。コア物価と所定内給与は、概ね、リーマン・ショック後の経済危機の渦中にあった2008年12月前後とほぼ同じ程度の水準まで上昇しているが、物価はこのところ3カ月連続で横ばい、所定内給与は今月低下となった。

https://dl.dropboxusercontent.com/u/19538273/nbu_ts.csv

※季節調整の結果ファイル:
https://dl.dropboxusercontent.com/u/19538273/x-12-arima_output.txt