備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

ティム・ハーフォード(遠藤真美訳)「まっとうな経済学」

まっとうな経済学

まっとうな経済学

コメント 原題は"The Undercover Economist"。「限界」概念や特定の要素に焦点を当てた「モデル」によって考えることの意義、効率性(パレート最適)等について、一般的な事例に基づいて手際よく紹介されている。「希少性の力」「情報の欠落」「外部性」という市場の失敗に関わる3つの要素を取り上げつつ、その解決の糸口を見出し、最後は自由な競争(自由貿易)が経済の成長に繋がり、それは人々を豊かにすることを強調する。「ヤバい経済学」がインセンティブの重要性を特に強調するのに対し、「まっとうな経済学」のキーワードは「希少性」ではないかと思う。株価を上昇させるのは「経済の変革」ではなく「希少性」であり、インターネットは利益を創造することも破壊することもあるといった指摘は説得力がある。また、最後の「反グローバリズム」に対する周到な批判については、読み応えあり。