河野稠果「人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか」(2)
人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書)
- 作者: 河野稠果
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/08/01
- メディア: 新書
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第5章 生殖力と出生率−生物的・行動的「近接要因」
- 人口学では、出生力を、人間の生殖をめぐる生物的、行動的要因である「近接要因」と、その背景にある「社会・経済・環境的変数」の2つの要因で考える。ボンガーツは、(1)結婚、(2)永久不妊の始まり、(3)産後の不妊、(4)自然的受胎確率・性交頻度、(5)避妊法の使用と効果、(6)子宮内胎児死亡、(7)人工妊娠中絶、の7つの近接要因を考え、特に、(1)(3)(5)(7)を重視。
第6章 結婚の人口学−非婚・晩婚という日本的危機
- 出生率への非婚・晩婚の影響。非婚・晩婚化の要因として考えられる、男性と女性が求める結婚の条件の違い、恋愛結婚市場の発達不全など。(略)
第7章 出生率低下と戦後社会−五つの社会経済的理論
- 社会経済的な出生力理論で代表的なものは、(1)合理的選択の理論(子供の質と機会費用に注目。ルーカス・シカゴ学派)、(2)相対所得仮説(相対的なコーホート規模に注目。イースタリン・ペンシルバニア学派)、(3)リスク回避論、(4)低出生率規範の伝播・拡散論、(5)ジェンダー間不衡平論(E・トッドら)の5つ。
第8章 出生率の予測−可能性と限界
- 出生率に影響を与えるとされる社会経済的変数の効果は、ミクロ分析の多変量解析では意外に小さく、出生率の推計には役立たない。人口推計と経済推計が一体となるシステム的なものが構想されるが、現在の段階では、そこまで発達していない。
第9章 将来の人口推計−未来をよむ人口学
- コーホート要因法(略)。
終章 人口減少社会は喜ばしいか