備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

真の失業率──2016年8⽉までのデータによる更新

完全失業率によって雇⽤情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発⽣することで、完全失業率が低下し、雇⽤情勢の悪化を過⼩評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる⽅法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。

8⽉の完全失業率(季節調整値)は3.1%と前年同⽉から0.1ポイント上昇したが、真の失業率は3.0%と前年同⽉から0.2ポイント低下した。真の失業率は、引き続き、減少基調である。真の失業率は完全失業率よりも低い水準となり、現推計時点において、雇用情勢は基準年*1である1992年よりも改善していることとなる*2。また、引き続きインフレ率が低下する中で完全失業率は改善しており、フィリップス・カーブはこのところ逆相関の動きである。

所定内給与と消費者物価の相関に関する7⽉までの結果は以下のようになる。賃⾦は4⽉以降減少に転じていたが、5月を底に再び上昇傾向となった。一方、物価は引き続き低下傾向である。

https://dl.dropboxusercontent.com/u/19538273/nbu_ts.csv

*1:本推計において完全雇用が達成しているとみなす年。

*2:ただし、雇用者数が正規・非正規ともに増加している中で、このところ、非正規の増加幅がやや高くなっている。