備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

真の失業率──2018年1月までのデータによる更新

 完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。今回は、推計の基礎となる潜在的労働力率を2017年まで延長推計た上で、2018年1月までの結果を過去に遡って再計算した。

 まず、年間の結果をみると、足許の2017年の真の失業率は3.2%で、前年よりも0.8ポイント低下した。また、公表値の完全失業率2.8%に対して0.4ポイントの開きがある。前回の推計値と比較すると、潜在的労働力率が変化したことにより、真の失業率は上振れしている(2016年の値で約0.4ポイント程度の上振れ)。改訂による年齢階級別潜在的労働力率の上昇幅は引き続き大きい。

 つぎに、1月の結果をみると、完全失業率(季節調整値)は2.4%と前月から0.3ポイント低下、真の失業率(改訂後)も2.8%と前月から0.1ポイント低下した。引き続き、真の失業率は減少基調である。(12月の真の失業率は、前回は2.1%としていたが、改訂により足許で0.7ポイント程度上振れし2.9%となった。)

 所定内給与と消費者物価の相関に関する12月までの結果は以下のようになる。物価および賃金はともに上昇基調である。

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