ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

真の失業率──2020年4月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。

4月の結果をみると、完全失業率(季節調整値)は2.6%と前月より0.1ポイントの上昇、真の失業率も2.1%と前月より0.1ポイントの上昇となった。真の失業率の上昇幅は0.128ポイントと、2009年11月(0.131ポイント)以来の上昇幅である。これを季節調整値(後述のCSVファイルを参照)でみると、4月上昇幅は1.424ポイントと大きく、加法的はずれ値(AO)となっている。今月は非自発的失業者も増加(3カ月連続)したが、非正規雇用の減少*1及び非労働力人口の増加が極めて大きく、一般職業紹介状況(厚生労働省)でみても、足許で新規求職申込件数が増加する兆しはみられず、有効求人倍率の低下は求人側の動きによる。
なお、現推計時点において、真の失業率は引き続き基準年*2である1992年より改善していることとなる。

所定内給与と消費者物価の相関に関する3月までの結果は以下のようになる。賃金のデータ入力ミスを訂正し季節調整を行ったところ、昨年末以降、賃金の減少傾向が明確となった。物価はトレンド線より高い傾向が続いており、消費停滞の継続が懸念される。

(注)本稿推計の季節調整法を、2020年1月分から変更*3した。

(真の失業率のデータ(CSV)が必要な方はこちらへ)
https://www.dropbox.com/s/5jffx3n8ab5zzbt/nbu_ts.csv?dl=0

*1:一方、正規雇用は前年差で増加。

*2:本推計において完全雇用が達成しているとみなす年。

*3:X-12-ARIMAからX-13-ARIMA-SEATSに変更し、曜日効果、異常値はAICテストにより自動検出(モデルは自動設定)とした。