備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

累損解消記念

思えば、96年に日経225インデックスファンドに手を出して以来、これまで継続してきた株・投信・外貨の累損が解消。かつては、150万円を超えていた累損が、昨日時点で約7万円の利益に。超の付く「ゴミ投資家」なので、別に大した話ではないのだが、私個人とし…

中上健次「枯木灘」

枯木灘 (河出文庫 102A)作者: 中上健次出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1980/06メディア: 文庫購入: 17人 クリック: 131回この商品を含むブログ (112件) を見る

ニート問題に関する備忘録的整理(その1)

ニートのカテゴライズに関しては、各種先行研究をフォローしてから論ずべきであるが*1、当面の備忘録的整理としては、適切なアナウンスがないためにニートになった者(仮に〈村上龍〉的ニートとしておく)と、働くことの有意味性を失った者(仮に〈内田樹的…

飯田泰之「デフレ期待・銀行機能問題と信用乗数の低下」(ESRI Discussion Paper Series)

1 はじめに 2 信用乗数の説明仮説について H=CN+CB+R、M=CN+D H:ベースマネー M:マネーサプライ CN:非銀行部門保有現金 CB:銀行部門保有現金 R:預金準備 D:預金 とすると、信用乗数mm=M/H=(CN/D+1)/(CN/D+CB/D+R/D)=(cdn+1)/(cdn+cdb+rd)。この定義による…

Le mort m'affecte(内田樹の研究室)

レヴィナスが現象学を祖述するに際して、強く強調したのは「そこにもう/まだないもの」もまた志向的対象でありうるという目のくらむような洞見であった。(中略)「世界で最後の人間」となった私が、それでもなお現事実的には存在しない他我たちとの共同主…

関連して、野村正實「労働市場」(大原社会問題研究所雑誌)

小池理論の中核は「知的熟練」論。生産ラインで働く直接生産労働者の一見単調に見える労働には「普段の作業」と「普段と違った作業」があり、後者には機械の知識や生産の仕組みの知識が必要(「知的熟練」)。これは、企業特殊的熟練であり、長期勤続の下で…

04/23付けエントリーに関連して、「給料以上に仕事をしている」(吐息の日々〜労働日誌〜)へのコメント

小池氏の主張は「中高年のリストラは不合理」というよりは、「企業が中高年をリストラしないのには多くの場合合理的な理由があり、『共同体意識や温情主義』という批判は不適切」と受け止めるべきだろうと思います。 (追記)なんか怒ってるような...そうで…

「パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ?」(労働、社会問題)へのコメントとその後の経緯

ミクロの問題として、正社員雇用とパート雇用に補完関係があるとの説がある中で、マクロ的に見れば、既婚女性を中心とするパート雇用が高卒採用を代替する関係がある。この経路の説明はpendingであるが、日本労働研究雑誌(「特集 パートの基幹労働力化と新…

消費税の大幅税率アップは今後絶対に避けられないか?(JMM 05/23/05発行)

概要 真壁昭夫:エコノミスト 政府は2010年初頭に、一般会計予算から公債に関わる歳入・歳出を除外した基礎的財政を均衡させる目標を示したが、とても実現するとは考えられず、金利水準が上昇すると、負担は一度に増幅する。日本は、キャピタル・マーケット…

日本経済研究センター新理事長

市場原理主義者からリフレ派へ。

日本銀行「金融経済月報(基本的見解)」

設備投資は、高水準の企業収益を背景として、製造業を中心に増加傾向にある。また、雇用面での改善傾向が続き、雇用者所得もはっきりと下げ止まる中で、個人消費は底堅く推移している。 企業の人件費抑制姿勢は引き続き根強いとみられるが、雇用過剰感が概ね…

関連して、同論文(及び日銀政策決定会合)に関する矢野浩一氏のコメント(ハリ・セルダンになりたくて)

重要だと思うのはやっぱり将来に対するインフレ期待も現在のインフレ率決定に影響を及ぼすという結果だと思います。この結果を素直に読むなら、「日本においてもインフレターゲットはデフレ脱却に有効だ」という風になる気もしますが・・・ (補足)政策決定…

古賀麻衣子、西崎健司「物価・賃金フィリップス曲線の推計−粘着価格・賃金モデル−」(日銀ワーキングペーパーシリーズ)

(未読)

量的緩和残高目標の下限割れ容認

各所で話題沸騰中。思えば00〜01年のゼロ金利解除の頃は、「良いデフレ論」が比較的認知されていたのと、企業収益の改善が分配に反映されるはずとの考え(いわゆる「ダム論」)がその背景にあったように記憶。今はさすがに「良いデフレ論」はほぼ消滅してい…

「資本主義の黄昏」(内田樹の研究室)

NEETの問題は、「いいから、とりあえず人間は働いてみるもんだよ。給料はたいしたことないけどね」というおそらく数万年前から人間が(とくにその理由を問うこともなく)慣習的に言い交わしてきたことばを、私たちの時代が「言い渋っている」ことに起因する…

「シニョリッジ」をめぐる議論のさらなる展開に関連して、裏鹿氏によるコメント

金融緩和が消費を通じて実体経済に与える影響を記述する手法であるショッピングタイム・モデル(及び政府の予算制約式)*1を取り上げ、ここから以下の見地を導く。 簡単なマネタリーモデルでは、政府の予算制約からも消費者の最大化問題からも明らかなように…

岩田規久男「日本経済を学ぶ」

日本経済を学ぶ (ちくま新書)作者: 岩田規久男出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/01/01メディア: 新書購入: 11人 クリック: 127回この商品を含むブログ (74件) を見る第1章 戦後復興から高度経済成長期まで 「所得倍増計画」は、民間の経済主体が自由…

「ファイナイト再保険」(中央青山監査法人)

本年2月7日に米国公認会計士協会(AICPA)は、ファイナイト再保険に係る実務指針(TPA)を発表。

小林慶一郎「金融システム不安定化による信用乗数の変化」(ESRI Discussion Paper Series)

1 はじめに 本稿で「金融システムの不安定化」とは、銀行の預金者に対する流動性供給機能(決済機能)が、不良債権の存在により疎外されること。銀行に不良債権が蓄積すると、対応する預金債務が増加し、増加した預金債務の不意の支払に備えるため流動性の…

「シニョリッジ」をめぐるいくつかの議論

「通貨発行益(シニョリッジ)をめぐる勘違い」(本石町日記) 日銀は通貨発行に伴い、同額を負債として積むので、シニョリッジ(通貨発行益)は、通貨の金額から発行原価を引いた金額(1万円札の場合、10,000-20=9,980円)ではなく、見合いとして保有され…

原田泰 論点/経済「失われた30年」(朝日新聞 05/13/05朝刊)

景気低迷は、90年代以降よりも70年代以降の方がその度合いが大きい。70年代以降の景気低迷は、一般に73年の石油ショックによるものと考えられているが、実際はそれまで続いた全産業的な成長率が、競争をやめ仕事を分け合おうとする傾向強くなったことの方が…

「JR西日本」(吐息の日々〜労働日誌〜)へのコメント

近年の株主重視の基調をめぐる議論。

篠潤之介、中原伸「雇用形態の多様化とその影響〜パート・派遣・請負の増大をどう考えるか〜」(日銀レビュー)

非正規雇用拡大の背景は、①女性労働力を中心に、勤務時間や日数に柔軟性を求める人々を企業が有効に活用しうる雇用形態として発達させたこと(ライフスタイルの多様化)、②人件費の変動化への動き*1、③99年の人材派遣をめぐる規制緩和の動き*2。 非正規雇用…

猪瀬直樹「どうなる日本の民営化」(MM日本国の研究 04/28/05発行)

(中略)これからの日本は、人口が減っても、全体のGDPが増えなくても、一人あたりのGDPを増やし利益率を向上させていけばいいのです。そのためには行政改革を断行して効率化を追求し、ムダをなくすことが先決です。 たとえば、建設業の優秀な人材や技…

ロナルド・ドーア(石塚雅彦訳)「働くということ グローバル化と労働の新しい意味」

働くということ - グローバル化と労働の新しい意味 (中公新書)作者: ロナルド・ドーア出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/04/25メディア: 新書購入: 10人 クリック: 193回この商品を含むブログ (69件) を見る第1章 労働の苦しみと喜び 21世紀のはじ…

「「残業代ゼロ」?」(吐息の日々〜労働日誌〜)へのコメント

ホワイトカラー・エグゼンプションのあり方についての議論。