備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

2013-01-01から1年間の記事一覧

真の失業率──2013年11月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過 小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した…

今年の10冊

毎年の恒例となっているこのエントリーを、今年も書くことにする。以下、順不同で。 濱口桂一郎『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』 若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす (中公新書ラクレ)作者:濱口 桂一郎中央公論新社Amazonhttp://d.hat…

非正規雇用比率の上昇は、労働者構成の変化によるものか?

先日のエントリーでは、物価の上昇に見合う賃金の上昇をマクロで実現することは、非正規雇用比率上昇による雇用面からの下押し圧力が続く限り困難であり、また、今後の雇用情勢の改善をみる上で、雇用の「量」の改善よりもむしろ雇用の「質」の改善をみるこ…

真の失業率──2013年10月までのデータによる更新

※給与の増減率のグラフについて、足許のデータが比較可能になるよう、年率に修正し、追記を加えました。(12/02/2013) 完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、…

物価と給与の推移──2013年9月までのデータによる更新

先日のエントリーに掲載した、消費者物価(生鮮食品を除く総合、コア)と所定内給与(概ね基本給に相当)の水準の推移の比較を更新した。 9月は、物価がやや上昇する中で給与のが停滞している。先日も指摘したように、労働市場がさらにタイト化する中で、需…

由良君美『椿説泰西浪曼派文学談義』ほか

椿説泰西浪曼派文学談義 (平凡社ライブラリー)作者: 由良君美出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/07/12メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 4人 クリック: 48回この商品を含むブログ (17件) を見る 最近の読書は、以前よりも経済書が少なくなり、それ他…

デフレ脱却の兆し

昨日、2013年第三四半期のGDP速報(一次QE)が公表され、実質GDP(季調値)は前期比0.5%の増加となった。民間投資(住宅、在庫を含む)と公的需要の寄与が大きく、純輸出はマイナスとなっている。特に注目されるのはGDPデフレーターの動…

真の失業率──2013年9月までのデータによる更新(付:物価と給与の推移について)

※追記あり。(11/02/2013) 完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業…

真の失業率──2013年8月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した…

大学に価値はあるか?

前回のエントリーで取り上げた濱口桂一郎『若者と労働』では、就活において「人間力」が重視されること、あるいは仕事の経験がない若者が「自己分析」など心理学的ツールを頼ることについて、日本における「教育と職業の密接な無関係」という文脈から説明を…

Twitterのブログパーツ

ブログのサイドに表示されているように、Twitterのブログパーツを追加しました。Scribdのブログパーツがあれば同じように表示できるようにしたいのですが、適当なものがありません。http://ja.scribd.com/train_du_soir

濱口桂一郎『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』

若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす (中公新書ラクレ)作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/08/10メディア: 新書この商品を含むブログ (18件) を見る 本書は、前著『日本の雇用と労働法』に描かれた日本の雇用システムに関す…

真の失業率──2013年7月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した…

故小野旭氏による構造的・摩擦的失業率推計の改善

構造的・摩擦的失業率の推計方法としては、先日のエントリーで取り上げたNAIRUのほかに、UV分析による均衡失業率がよく知られている。この推計では、労働力の供給である雇用者と失業者の合計値(U)と、労働力の需要である雇用者と欠員数の合計値(…

NAIRUの再推計──2013年第2四半期までのデータによる更新

※JILPT資料シリーズへのリンクを追加しました。(08/12/13) 完全失業率は、総需要の拡大ないし縮小(景気の拡張ないし後退)によって上昇ないし低下するが、失業には、こうした景気循環の影響によって変動することのないコアな部分もある。この「コア…

真の失業率──2013年6月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した…

竹森俊平『通貨「円」の謎』

通貨「円」の謎 (文春新書 923)作者: 竹森俊平出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/05/20メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見る 日本の「失われた10年」とよばれた長い不況は、他国にはみられない特殊な経験であった。では、なぜそのような…

藪下史郎『スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない』

スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない作者: 藪下史郎出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2013/02/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る 経済学者ジョセフ・スティグリッツの評伝、その経済学上の思考の…

働く人の給与はこれからどう推移するか?

※グラフを差し替えました(08/12/13) 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、その出だしから株価の上昇と為替の円高是正をもたらし、好調な滑り出しをみせた(最近、やや足踏み状態となっているが)。こうした動きは、4月に発表されたこれまでとは次元の…

真の失業率──2013年4月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した…

就業者数の予測──2015年第1四半期までのデータによる更新

ESPフォーキャスト調査の2013年5月結果と、先日公表された2013年第1四半期の四半期別GDP速報を用いて、今後の就業者数の動きを占うこととする。まずは、成長率の予測を単純にあてはめた実質GDPの水準の推移をみる。 実質GDPは当面順調…

貨幣的側面からみたこのところの経済の動き

このところ、日銀による量的・質的金融緩和が物価と賃金にどのように反映されるかが世間の注目を浴びており、物価が上昇しても賃金は上昇しないのではないかという懸念が指摘されている。この点をいくつかの指標から占うこととするが、まずは、マネタリーベ…

吉川洋『デフレーション “日本の慢性病”の全貌を解明する』

デフレーション―“日本の慢性病"の全貌を解明する作者: 吉川洋出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2013/01/19メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 71回この商品を含むブログ (14件) を見る 本書では、最初に、マスコミの論調を取り入れながらこの1…

猪木武徳『経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組み』

経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み (中公新書)作者: 猪木武徳出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/10/24メディア: 新書購入: 4人 クリック: 43回この商品を含むブログ (32件) を見る 批判にさらされやすい経済学の意義と限界について、…

真の失業率──2012年12月までのデータによる更新

先日のエントリーでは、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで失業率の悪化が抑制される就業意欲喪失効果の影響を補正し、完全失業率とは異なる方法によって推計した「真の失業率」の11月までの結果を紹介したが、今回は、推計…

景気回復にともなう雇用の改善には、世代ごとに異なる動き(その2)

前回のエントリーでは、非正規職員・従業員数が2002年から2007年までの間にどの程度変化したかを世代別に確認し、その結果、 この間、景気回復期にあり、新規学卒者の就職状況も改善していたが、2007年もほぼ同数の非正規職員・従業員数(約2千…

景気回復にともなう雇用の改善には、世代ごとに異なる動き

以前のエントリーで、パート・アルバイトで就業する有業者とパート・アルバイトでの就業を希望する無業者を合計した、いわゆる「フリーター」の属性に相当する者の数を年齢階級別(5歳刻み)に集計し、5年ごとに実施される調査(就業構造基本調査)により…

真の失業率──2012年11月までのデータによる更新

完全失業率は、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、雇用情勢の悪化を過小評価することがあるが、この効果(就業意欲喪失効果)の影響を補正し、完全失業率とは異なる方法によって推計した「真の失業率」を、最新のデータを加…