ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

真の失業率──2020年2月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。

2月の結果をみると、完全失業率(季節調整値)は2.4%と前月と同水準、真の失業率も1.9%と前月と同水準となった。引き続き、真の失業率は減少基調である。現推計時点において、真の失業率は基準年*1である1992年より改善していることとなる。

(注)本稿推計の季節調整法を、2020年1月分から変更*2した。

(参考エントリー)

(真の失業率のデータ(CSV)が必要な方はこちらへ)
https://www.dropbox.com/s/fixt1abitfo58ee/nbu_ts.csv?dl=0

*1:本推計において完全雇用が達成しているとみなす年。

*2:X-12-ARIMAからX-13-ARIMA-SEATSに変更し、曜日効果、異常値はAICテストにより自動検出(モデルは自動設定)とした。

教訓

 これまでの限られた職業経験の中で得た重要な教訓のうち、世の中であまり語られていないと感じるものを、メモ程度に残しておきたいと思います。なお、自分のことは「棚に上げて」書いているところが一部にあります。4・5番目以降は他人の受け売りです。

  • 『「事実」は《作られる》』を追加(03/26/2020)
  • 『《真実》は細部に宿る』を追加(03/28/2020)

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真の失業率──2020年1月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。今回は、推計の基礎となる潜在的(均衡)労働力率を2019年まで延長推計した上で、2020年1月までの結果を過去に遡って再計算した。

まず年間の結果をみると、2019年の真の失業率は2.4%と前年よりも0.2ポイント低下した(公表値である完全失業率は2.4%と前年と同水準)。前回推計値と比較すると、潜在的労働力率が上方改訂されたことで真の失業率は上方改訂された(2018年で約0.4ポイント程度の上方改訂)。

つぎに1月の結果をみると、完全失業率(季節調整値)は2.4%と前月より0.2ポイント上昇したが、真の失業率は1.9%と前月より0.1ポイント低下した。引き続き、真の失業率は減少基調である。現推計時点において、真の失業率は基準年*1である1992年より改善していることとなる。(12月の真の失業率は、前回は1.0%としていたが、改訂により足許で1.0ポイント程度上振れし2.0%となった。)

所定内給与と消費者物価の相関に関する12月までの結果は以下のようになる。サンプル替えの断層により、一般労働者の特別給与が減少、パートタイム労働者比率が上昇したことで、賃金は2019年1月に大きく減少したが、その後は物価・賃金ともに上昇基調に回復した。ただし、消費者物価がトレンド線よりも高く(いわゆるリーマン・ショック時と同程度)、消費停滞の継続が懸念される。

なお、本稿推計の季節調整法を、今回から変更*2した。

(参考エントリー)

(真の失業率のデータ(CSV)が必要な方はこちらへ)
https://www.dropbox.com/s/fixt1abitfo58ee/nbu_ts.csv?dl=0

(注)データとして公開している真の失業率の季節調整値については、再推計の結果を反映した他、AICテストの結果これまでの推計では検出されなかったレベルシフトが検出されたため、前回推計値との変化幅が大きくなっている。

*1:本推計において完全雇用が達成しているとみなす年。

*2:X-12-ARIMAからX-13-ARIMA-SEATSに変更し、曜日効果、異常値はAICテストにより自動検出(モデルは自動設定)とした。

真の失業率──2019年12月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。

12月の結果をみると、完全失業率(季節調整値)は2.2%と前月と同水準となったが、真の失業率は1.0%と前月から0.2ポイント低下した。引き続き、真の失業率は減少基調である。現推計時点において、真の失業率は基準年*1である1992年より改善していることとなる。

所定内給与と消費者物価の相関に関する11月までの結果は以下のようになる。サンプル替えの断層により、一般労働者の特別給与が減少、パートタイム労働者比率が上昇したことで、賃金は1月に大きく減少したが、その後は物価・賃金ともに上昇基調に回復した。

(参考エントリー)

(真の失業率のデータ(CSV)が必要な方はこちらへ)
https://www.dropbox.com/s/fixt1abitfo58ee/nbu_ts.csv?dl=0

*1:本推計において完全雇用が達成しているとみなす年。

企業部門のISバランス(貯蓄)は大幅減少

国民経済計算(SNA)の資本勘定から推計したISバランスについては、3年前に2011年基準改定後の動向を分析し、昨年、その後の動きをフォローアップした。

traindusoir.hatenablog.jp

資本勘定とは、一国経済(および制度部門別)の貯蓄と投資のフローを実物面からみたもので*1、ISバランス(貯蓄投資差額)は、一国経済(および制度部門別)の資金余剰(不足)の実態を表す*2
昨年末に内閣府から公表された『2018年度 国民経済計算年次推計(フロー編)』は、2019年10月の消費税率引上げの結果を未だ反映するものではなく*3、大きな制度変更を含むものではないが、企業部門(非金融法人企業)のISバランスに特徴的な変化がみられたので、昨年と同じ分析を行うこととする*4

*1:同じく、金融面からみたものが金融勘定。

*2:実際のSNA資本勘定(統計表)では、ISバランスは「純貸出(+)/純借入(-)」として貸方に計上される。

*3:昨年の分析に用いた結果から2016年及び2017年結果を改定し2018年の結果追加。

*4:以後の分析は、これまでの分析と同様、基本的には名目GDPに対する割合による。

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真の失業率──2019年11月までのデータによる更新

完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。

11月の結果をみると、完全失業率(季節調整値)は2.2%と前月から0.2ポイント低下したが、真の失業率は1.2%と前月と同水準となった。引き続き、真の失業率は減少基調である。現推計時点において、真の失業率は基準年*1である1992年より改善していることとなる。

所定内給与と消費者物価の相関に関する10月までの結果は以下のようになる。サンプル替えの断層により、一般労働者の特別給与が減少、パートタイム労働者比率が上昇したことで、賃金は1月に大きく減少したが、その後は物価・賃金ともに上昇基調に回復した。10月より消費税が増税されたが、消費者物価には目に見えるような影響は表れていない。

(参考エントリー)

(真の失業率のデータ(CSV)が必要な方はこちらへ)
https://www.dropbox.com/s/fixt1abitfo58ee/nbu_ts.csv?dl=0

*1:本推計において完全雇用が達成しているとみなす年。

今年の10冊

恒例のエントリーです。今年後半は読書よりOCW(CourseraのPractical Time Series Analysis、edXのMachine Learning on R)やHackerrankなどに嵌りました。それにしても今年、自分にとっては初詣のおみくじ「凶」に相応しい年の始まりでした。
いまのご時世、これまで積み上げられてきた解釈・慣習による予測可能性が唐突の判断で微塵に臥され、新たなルールを過去に遡及適用し誰かを血祭りにあげようとする人間がいる一方、これまでの予測可能性をギリギリの線で死守するため、些末なルールに知恵を絞り土俵際で堪えている人間もいるのだな、という印象です。

以下、順不同で。

石川拓治『茶色のシマウマ、世界を変える 日本初の全寮制インターナショナル高校ISAKをつくった 小林りんの物語』

traindusoir.hatenablog.jp


このところ、「自分の子等もこんな生き方をしてほしい」と思える人の話を聞いている時が、最も心が晴れやかになります。

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