備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

2010-01-01から1年間の記事一覧

ヌリエル・ルービニ、スティーブン・ミーム『大いなる不安定 金融危機は偶然ではない、必然である』

大いなる不安定作者: ヌリエル・ルービニ,スティーブン・ミーム,山岡洋一,北川知子出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2010/10/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 68回この商品を含むブログ (14件) を見る 2008年秋以降に顕在化する金融、経済危機…

就業者数が増加に転じても、医療、福祉の就業者数は引き続き増加

以前に作成したグラフを更新したので、提供します。2010年半ばより、非自発的な離職失業者は減少に転じ、就業者数もここ2カ月は増加となっています。一方で、医療、福祉の就業者数は引き続き増加しております。2007年には建設業とほぼ同数だった就業者数は…

小島寛之『算数の発想 人間関係から宇宙の謎まで』

算数の発想 人間関係から宇宙の謎まで (NHKブックス)作者: 小島寛之出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2006/06/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 38人 クリック: 944回この商品を含むブログ (19件) を見る 著者は、多くの著書を持つ経済学者で、自分…

坂東眞理子、辰巳渚(編著)『ワークライフバランス 今日から変われる入門講座』

ワークライフバランス 今日から変われる入門講座 (朝日新書)作者: 坂東眞理子,辰巳渚出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2008/10/10メディア: 新書 クリック: 27回この商品を含むブログ (12件) を見る ワークライフバランスという言葉は多義的である。本…

四半期別GDP速報

昨日、四半期別GDP速報が公表されましたので、いつものグラフを3点セットでみていきます。今回は米国から。 米国経済は、貨幣経済面からみれば堅調に回復しており、デフレ懸念も概ねおさまりつつありますが、雇用の回復ができていません。実質経済成長率…

小林公夫『「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』

「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法 (PHP新書)作者: 小林公夫出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2009/05/16メディア: 新書購入: 5人 クリック: 81回この商品を含むブログ (12件) を見る 大学の法学講師を務めつつ、司法試験予備校でロースクール入試…

昨年の13冊

昨年の『今年の…冊』では、たった3冊しかあげませんでしたが、改めて、エントリーを起こしたいと思います。以下、順不同で。 竹森俊平『資本主義は嫌いですか それでもマネーは世界を動かす』 資本主義は嫌いですか: それでもマネーは世界を動かす作者:竹森…

今年の13冊

※追記を追加しました。(11/09/10) 年末までまだ一月余りを残しておりますが、しばらく本を読めそうな感じがしないので、今年の「13」冊をここで上げておきたいと思います。以下、順不同で。 ジョン・メイナード・ケインズ(山岡洋一訳)『説得論集』 ケ…

マクロ経済の変調と雇用問題に関する覚書

(マクロ経済論) 定常的世界 市場経済の仕組み 定常的世界と「経済的至福」 財政マネタイズと仕事と生活の調和 労働時間の短縮 流動性の罠 人口減少と投資の減退(ジョン・メイナード・ケインズ『人口減退の若干の経済的結果』全訳付き) 貨幣の価値と労働…

労働政策研究・研修機構『失業構造の理論的・実証的研究』

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2010/10-078.htm 執筆者の中に、小野旭一橋大学名誉教授の名前があります。おそらく、最後の論文となったのではないでしょうか。

ジョン・メイナード・ケインズ『人口減少の若干の経済的帰結』

下のサイトに全文が掲載されている上、翻訳が進められているようです。http://nestofmacron.blog.shinobi.jp/Entry/1/関連するhicksianさんとのTwitterでのやり取りを含め、要注目ではないかと思います。 なお、ケインズの当該講演録の翻訳については、塩野…

新宮秀夫『倹約と幸福 エネルギー・環境問題解決への道』

倹約と幸福 エネルギー・環境問題解決への道 (小学館101新書)作者: 新宮秀夫出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/02/01メディア: 新書 クリック: 65回この商品を含むブログ (4件) を見る 著者のいうところとは異なり、倹約は失業を生み、失業は不幸を導くこ…

武田晴人『仕事と日本人』

仕事と日本人 (ちくま新書)作者: 武田晴人出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/01/01メディア: 新書購入: 5人 クリック: 56回この商品を含むブログ (15件) を見る 今村がいうように、労働の喜びは虚構であるとすれば、仕事や地位を得ることの喜びもまた、…

篠原三代平『長期不況の謎をさぐる』

長期不況の謎をさぐる作者: 篠原三代平出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 1999/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログを見る 本書が出版されたのは、アジア通貨危機、そして一連の金融危機が起きてからちょうど1年を経過した1999…

ビークルとしての中央銀行

※脚注を追加しました。 柄谷行人『世界史の構造』への感想の中で、以下のように記述した。 金本位制の時代とは異なり、現代の世界貨幣である主要通貨は不換紙幣である。それは、その素材そのものに価値はないが、国家の負債としての裏付けを持つものである。…

『atプラス』05号(太田出版)

※文章を修正しました。(08/26/10)atプラス 05作者: 上野千鶴子,大塚英志,濱野智史,鈴木一誌,山折哲雄,岡崎乾二郎,岩根邦雄,岸本幸子,宮台真司,広井良典,山下範久,橋本努,水野和夫出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2010/08/07メディア: 単行本(ソフトカバ…

柄谷行人『世界史の構造』

世界史の構造 (岩波現代文庫 文芸 323)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/06/25メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 232回この商品を含むブログ (75件) を見る この本は、3年前に読んだ『世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて…

日本経済の「正常化」──その後

2010年第二四半期のGDP一次速報が公表されました。実質GDPは0.1%(年率0.4%)の増加となり、事前に予想よりも低い伸びとなっています。 また、需要項目別の寄与度をみると、外需(純輸出)はプラスを維持したものの、消費や投資など内需はマイナスとなりま…

マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学作者: マイケル・サンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/05/22メディア: 単行本購入: 483人 クリック: 15,840回この商品を含むブログ (583件) を見る 「正義…

松井慎一郎『河合栄治郎 戦闘的自由主義者の真実』

河合栄治郎 - 戦闘的自由主義者の真実 (中公新書)作者: 松井慎一郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/12/18メディア: 新書購入: 1人 クリック: 40回この商品を含むブログ (19件) を見る 東京帝国大学経済学部教授であり「平賀粛学」によって職を辞…

Twitter,etc.

Twitterは退会しました。※はてなブックマークの利用も中止し、過去のブックマークは全て削除しました。(10/06/27)

デフレ脱却に向けた対応

※文章を適正化しました。(05/27/10) 前回に引き続き、デフレについて、日米のデータを比較しながら分析します。なお、「デフレ」の定義については、「物価下落が2年以上継続している状態」をさすのが一般的ですが、ここでは、より広範に「持続的な物価の…

「正常化」に向かう日本経済

※注記を修正(岡田、浜田論文についての記述を追加)しました。(05/26/10) ※追記を追加しました。(05/24/10) 2010年第一四半期のGDP一次速報が公表されました。実質GDPの上昇率は年率4.9%の増加となり、事前に予想されたとおり、高い伸びとなっています…

広井良典『定常型社会 新しい「豊かさ」の構想』

※文章を修正しました。(05/16/10)定常型社会―新しい「豊かさ」の構想 (岩波新書)作者: 広井良典出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2001/06/20メディア: 新書購入: 7人 クリック: 66回この商品を含むブログ (34件) を見る 広井良典は、2001年に出版された『…

「仕事を豊かに生む景気回復」とILOによる政策効果分析

4月20〜21日にワシントンD.CにおいてG20労働・雇用担当大臣会合が開催されました。このときに、ILO(国際労働機関)が提出したレポート"Accelerating a job-rich recovery in G20 countries: Building on experience" を読む機会がありましたので、少…

「ケインズ的」理由によって生じた貯蓄率の低下

先日のエントリーに関連して。先日のエントリーでは、日本の貯蓄率の低下についてつぎのように記述した。 この長期的な貯蓄率の低下は、単純なライフサイクル・モデルによって解釈することができる。人口に占める高齢者の割合が上昇すると、これまでの貯蓄(…

”Kansian Economics”の行方

※文章を追加、および若干修正しました。(04/20/10) ケインズは、『雇用、利子および貨幣の一般理論』の最終章において、「金利生活者の安楽死」や「投資の社会化」について言及している。 資本需要に確たる限界があるのは確かだと思われる。限界というのは…

このブログにおける銅鑼衣紋さんの発言

このブログで、これまでに銅鑼衣紋さんからいただいたコメントのうち、主要なものをサルベージします。○「循環変動を構造変動だと信じたい習性」について 銅鑼衣紋 2006/08/31 15:42 なんつーか、循環変動を構造変動だと信じたい習性のなぜるわざですなorz …

BLOGOS

本日から、BLOGOSへの情報提供をさせていただくことになりました。http://blogos.livedoor.com/ 早速、先日のエントリーが掲載されています。http://news.livedoor.com/article/detail/4686328/

完全失業率の改善

※『ガジェット通信』に掲載していただきました。(03/23/10) http://getnews.jp/archives/52631 やや古い話題となりますが、2010年1月の完全失業率は改善し、4.9%となりました。この「改善」には、これまでの動きとは異なる傾向がひとつみられます。就業…