2011-01-01から1年間の記事一覧
恒例のことでもあるので、今年もこのエントリーを書くことにする。1.カーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ『国家は破綻する 金融危機の800年』国家は破綻する――金融危機の800年作者:カーメン・M ラインハート,ケネス・S ロゴフ日経BPAmazon やはり今年…
アイデンティティと暴力: 運命は幻想である作者: アマルティア・セン,大門 毅,東郷えりか出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2011/07/09メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 267回この商品を含むブログ (26件) を見る 本書でセンが主張するのは、人間の理性…
※追記および関連エントリーを追加しました。(12/03/11) ここにいう「ジレンマ」とは、通常、雇用情勢がよくなること、例えば、求人数が増加すれば、雇用政策の執行はより容易になると考えるのが自然であるが、逆に、雇用情勢がよくなることによって、雇用…
アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)作者: 堂目卓生出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/03/01メディア: 新書購入: 8人 クリック: 169回この商品を含むブログ (114件) を見る 本書において著者は、アダム・スミスの幸福観に関…
日本の雇用と労働法 (日経文庫)作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2011/09/16メディア: 新書購入: 10人 クリック: 124回この商品を含むブログ (9件) を見る 日本の雇用システムを構成している各種の部分システムは、メンバーシ…
カウンセリングとは何か (朝日選書)作者: 平木典子出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1997/10/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 51回この商品を含むブログ (6件) を見る 本書は、「特定のカウンセラーと来談者(クライエント)がつくり上げる、二度…
日本経済は、1990年代半ばより、一時的なものを除いて物価上昇率はマイナスとなっており、デフレーションが継続している。デフレーションは、貨幣供給面からみると、先日のエントリーでも指摘したように、財・サービスの数量的な増加に対し、マネーストックの…
以下、自戒も込めて。 1.「○○というのは、△△では当たり前」、「●●は、▲▲によってそのほとんどが説明できる」といった議論は、その前提や文脈をよく見極める必要がある。前提が違う場合にはまったくあてはまらなかったり、ほんらい用いるべきでない文脈に使…
アイデンティティ経済学作者: ジョージ・A・アカロフ、レイチェル・E・クラントン,山形浩生、守岡桜出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2011/07/21メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 128回この商品を含むブログ (18件) を見る 経済学では、人間の行…
1990年代以降の経済については、米国では順調に成長が続いた一方、日本では「失われた10年」とよばれるような長期にわたる停滞があったことが対比的に論じられている。ところが、従業員1人あたりでみた実質付加価値額、すなわち従業員単位でみた労働生産性…
最近公表された米国のSNA統計をみると、米国経済は、このところ踊り場的局面を迎えつつあり、雇用については、しばらくは厳しい情勢が続くことが見込まれている。実質GDPの対前期比は0.3%の増加であるが、消費の伸びはゼロとなっている。 一部では、…
※注記を追加しました。(08/21/11)ニュー・エコノミクス―GDPや貨幣に代わる持続可能な国民福祉を指標にする新しい経済学作者: デイヴィッドボイル,アンドリューシムズ,David Boyle,Andrew Simms,田沢恭子出版社/メーカー: 一灯舎発売日: 2010/06メディア: …
先日のエントリーで触れた東北6県における1人あたり雇用者報酬について、もう一度取り上げてみたい。今回は、1998年度と2008年度とを比較してみる。 このようにしてみると、東北6県の所得水準は全国平均よりも総じて低い。特に、北東北3県では低く、しか…
1.今回の分析では、1人あたり雇用者報酬と有効求人倍率を、それぞれ所得、雇用に関する指標として別々にあつかった。一方、既存研究では、完全失業率など雇用に関する変数に一元化して回帰するケースが多い。この点については、つぎのような二つの事例か…
これまでのエントリーの締め括りとして、自殺率を被説明変数とするパネルデータを分析する。今回用いる自殺率は、自殺予防総合対策センター『自殺対策のための自殺死亡の地域統計1973-2009』に掲載されている男性の年齢調整自殺率(1996〜2008年)とし、説明…
前回までのエントリーにおいて残された、自殺率を説明する所得水準、高齢化以外の要因を探るため、今回は、説明変数に有効求人倍率、年間日照時間、ソーシャル・キャピタルの水準(SC指数)を加えたモデルで回帰分析を試みる。被説明変数は、前回同様、ク…
前回のエントリーでは、都道府県別のクロスセクション・データによって、所得水準と自殺率の間に相関性があることを確認した。ただし、この分析では、高齢化率が所得水準と自殺率の双方に関係をもっているため、見かけ上、所得水準と自殺率の間に相関性が生…
デフレは、物価と所得が相互に関係することで、名目所得の低下と強く関係するが、名目所得の低下は、必ずしも全国で一律的に生じているわけではなく、地域ごとに、その度合いには違いがある。試みに、東北6県と全国の名目所得(マクロの雇用者報酬)の推移…
atプラス 08作者: 磯崎新,大澤真幸,山崎義人,山折哲雄,上野千鶴子,内田祥士,大塚英志,稲葉振一郎,菊地謙,鈴木一誌,市野川容孝,永松伸吾,牧紀男,田畑知之,大平正巳出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2011/05/10メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 ク…
The Great Stagnation: How America Ate All the Low-Hanging Fruit of Modern History, Got Sick, and Will( Eventually) Feel Better作者: Tyler Cowen出版社/メーカー: Dutton発売日: 2011/06/09メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 53回この商品…
いつも活用しているESPフォーキャスト調査の新しい調査結果が、4月12日付けで公表された。今回は、東日本大震災の影響もあり、前回とは大きく異なる結果となっている。先ずは、実質成長率について、1月の結果との違いを確認する。 実質経済成長率は、2011…
前回のエントリーでは、震災によって経済の供給面が大きな打撃を受けたときには、必ずしも需要の収縮がそれにともなって生じるわけではなく、経済は次第に回復に向かう傾向があることを阪神・淡路大震災前後の経済指標によって確認した。ただし、震災からの…
※表題を変更しました。(03/22/11) 3月11日の地震では、東北地方太平洋沿岸を中心に甚大な被害が生じました。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。 大震災の直後は、まずは人命救助と被災された人々に対する生活支援が優先されることになるが…
2010年の年間データがそろったことを受け、真の失業率(景気の悪化により条件のよい求人が減少することで労働者の就業意欲が低下し労働市場から退出する効果等を除去した失業率)を再推計し、1月データを加えてグラフ化した。真の失業率は、これまでの傾向…
フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く作者: ラグラム・ラジャン,伏見威蕃,月沢李歌子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/01/18メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 80回この商品を含むブログ (16件) を見る 本書は、グリースパンがFRB議…
2月16日のエントリーでは、経済の実物面(実質GDP)の今後の予測から、雇用情勢が今後どのように推移していくかを予測した。今回は、2月14日に公表された2010年第4四半期のGDP速報をもとに、日本経済を貨幣的側面からみるとともに、米国のデータと比較…
2月14日(月)に2010年第4四半期のGDP速報が公表され、2010年における実需の動向を表すデータが出そろった。ついては、ちょうど1年前に行ったのと同様、ESPフォーキャスト調査*1による実質GDP成長率予測をベースに、今後の就業者数の推移がどう…
atプラス 07作者: 上野千鶴子,山折哲雄,天田城介,宇都宮健児,大澤信亮,山下範久,岩淵弘樹,樋口恵子,中下大樹,鈴木一誌,中西正司,大澤真幸,副田義也,大塚英志出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2011/02/09メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック…
※以前削除したエントリーのサルベージ・データを加筆・修正したものです。 旅する哲学―大人のための旅行術作者: アラン・ドボトン,Alain De Botton,安引宏出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/04メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 97回この商品を含むブ…
※以前削除したエントリーのサルベージ・データを加筆・修正したものです。幸福 [DVD]出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー発売日: 2005/03/25メディア: DVD購入: 2人 クリック: 50回この商品を含むブログ (21件) を見る アニエス・ヴァルダに『幸福』という名…