備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

2012-01-01から1年間の記事一覧

今年の10冊

今年も、恒例のこのエントリーを書くことにします。今年は、やむを得ない事情があり、読みたい本を読むことよりも、既存の蔵書の中から選んで読むことの多い1年間でした。 では早速ですが、以下、順不同で。 オリバー・ウィリアムソン(浅沼萬里、岩崎晃訳…

オリバー・ウィリアムソン(浅沼萬里、岩崎晃訳)『市場と企業組織』(4)

市場と企業組織作者: オリヴァー・イートン・ウィリアムソン,浅沼万里,岩崎晃出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1980/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (14件) を見る 続く二つの章では、支配的企業と独占の問題(独占…

オリバー・ウィリアムソン(浅沼萬里、岩崎晃訳)『市場と企業組織』(3)

市場と企業組織作者: オリヴァー・イートン・ウィリアムソン,浅沼万里,岩崎晃出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1980/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (14件) を見る 第十章においては、内部組織と市場の関係について…

SNAの日米比較──2012年第2四半期までのデータによる更新

昨日、四半期別GDP統計の第2四半期分が公表されたので、日米比較を行ってみることにする。まずは、実質GDPの動きから。 スケールの違いに注意が必要だが、実質GDPは、日米ともに民間投資を中心に弱いながらもプラスを維持し、とりあえずは堅調に推…

オリバー・ウィリアムソン(浅沼萬里、岩崎晃訳)『市場と企業組織』(2)

市場と企業組織作者: オリヴァー・イートン・ウィリアムソン,浅沼万里,岩崎晃出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1980/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (14件) を見る 前エントリーでは、市場における商品取引のかわり…

オリバー・ウィリアムソン(浅沼萬里、岩崎晃訳)『市場と企業組織』(1)

※一部追記・修正しました。(07/22/12)市場と企業組織作者: オリヴァー・イートン・ウィリアムソン,浅沼万里,岩崎晃出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1980/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (14件) を見る エリノア・…

太田聰一『若年者就業の経済学』

若年者就業の経済学作者: 太田聰一出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2010/11/19メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 76回この商品を含むブログ (13件) を見る 数々の研究成果を発表している(「現役」の)労働経済学者による若年雇用問題に関す…

BLOGOS投稿の載録

5月16日付けのBLOGOS Discussionに投稿した内容を、こちらにも載録する。 若者雇用戦略の骨子案が公表。効果はある?若者の就職を支援する「若者雇用戦略」の骨子を政府がまとめました。 ・参照リンク 若者雇用戦略の骨子(案)日経新聞の報道によると最…

レベッカ・ソルニット(高月園子訳)『災害ユートピア なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか』

災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)作者: レベッカ・ソルニット,高月園子出版社/メーカー: 亜紀書房発売日: 2010/12/17メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 195回この商品を含むブログ (5…

真の失業率──2012年4月までのデータによる更新

※追記を追加しました。(06/05/12) 完全失業率は、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、雇用情勢の悪化を過小評価することがあるが、この効果(就業意欲喪失効果)を補正し推計した「真の失業率」を、最新のデータを加えて更…

川本隆史『現代思想の冒険者たち23 ロールズ 正義の原理』

ロールズ (「現代思想の冒険者たち」Select)作者:川本 隆史講談社Amazon 本書は、ロールズの主著である『正義論』を中心におき、『正義論』以前の著作から『正義論』を経て、その後の論争、そして『政治的リベラリズム』に至る一連の流れにおいて、その思想…

池尾和人『現代の金融入門【新版】』

※本文に追記し、注を追加しました。(04/14/12)現代の金融入門 [新版] (ちくま新書)作者: 池尾和人出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/02/10メディア: 新書購入: 21人 クリック: 300回この商品を含むブログ (47件) を見る 金融取引、銀行システム、企業…

小野善康『成熟社会の経済学 長期不況をどう克服するか』

成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)作者: 小野善康出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/01/21メディア: 新書購入: 15人 クリック: 311回この商品を含むブログ (30件) を見る 現代の経済学において不況とは、長期的な成長経路から、一…

日本の雇用労働を考えるための必携書

※随時改訂しています。 私が書く程度のものであれば、概ね、これらを参照すれば十分。必ずしも、すべて熟読したわけではありません。以下、備忘録として。1.島田晴雄『労働経済学』労働経済学 (モダン・エコノミックス 8)作者: 島田晴雄出版社/メーカー: …

信頼、幸福と批判的精神

幸福の研究―ハーバード元学長が教える幸福な社会作者: デレック・ボック,土屋直樹,茶野努,宮川修子出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2011/09/23メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 62回この商品を含むブログを見る 前回のエントリーでは、デレック…

デレック・ボック(土屋直樹他訳)『幸福の研究 ハーバード元学長が教える幸福な社会』

幸福の研究―ハーバード元学長が教える幸福な社会作者: デレック・ボック,土屋直樹,茶野努,宮川修子出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2011/09/23メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 62回この商品を含むブログを見る 本書は、原題に"The Politics of …

高階秀爾、山梨恵美子、鴻池朋子『鼎談 美術館の新たな可能性を求めて 藤田嗣治へのオマージュ』

http://alve.tv/archives/3106 今年の7月に暫定オープンする新県立美術館(設計は安藤忠雄)のPRのためのイベントで、藤田嗣治の大壁画『秋田の行事』を背にしての鼎談。三者はそれぞれ秋田県に縁を持つ美術批評家、アーティストであり、平野政吉について…

ESPフォーキャスト調査による就業者数の予測

16日に公表されたESPフォーキャスト調査により、今後の就業者数の推移を予測する。まず、実質GDPの水準はつぎのようになる。 実質GDPは、緩やかに上昇しているが、経済危機以前のピークの水準に達するのは、2013年の第3四半期まで待つことになる。ま…

真の失業率──2011年11月までのデータによる更新

完全失業率は、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、雇用情勢の悪化を過小評価することがあるが、この完全失業率とは異なる方法によって推計した「真の失業率」を、最新のデータを加えて更新した。 これによると、「真の失業率…

『gdgd感想』なる文章への返答

http://d.hatena.ne.jp/bunz0u/20120115/1326565348 エントリーを読ませていただきました。予想したとおり、ひどい代物でした(笑)。とはいえ、以下、返答を書かせていただきますが、最初に、理屈で議論することとは異なる点について指摘させていただきます…

タイラー・コーエン(久保恵美子訳)『フレーミング 「自分の経済学」で幸福を切りとる』

フレーミング「自分の経済学」で幸福を切りとる作者: タイラー・コーエン,久保恵美子出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2011/07/21メディア: 単行本 クリック: 70回この商品を含むブログ (13件) を見る フレーミング効果とは、行動経済学で提示される人間の…

今年の経済に対する期待

※追記を追加しました。(01/14/12) これはヨーロッパのある都市でも同じように感じたことだが、日本の地方都市は、サービスが悪いと感じることがある(特に、地方の公共交通機関など)。ちょっとした動作を一つとっても、「遅い」と感じることがあり、逆に…