備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

2005-01-01から1年間の記事一覧

「水野委員の講演で思うこと=生保の逆ザヤ問題」(本石町日記)

http://hongokucho.exblog.jp/m2005-12-01/#3903084 逆ザヤ問題があるのになぜ経営は安泰なのかと言えば、市況好転はさることながら、生保独特の収益構造にカラクリがある。具体的には、収益源は大まかに「利差益」、「費差益」、「死差益」の三つ(いわゆる…

「もじれの日々」コメント欄における議論

コメント 備忘録的にチェック。*1①職務が通常の労働者と同じであり、人材活用の仕組みや運用等も通常の労働者と実質的に異ならないパートタイム労働者については、同一の処遇決定方式等により均衡の確保を図り、②職務は通常の労働者と同じであるが、人材活用…

ブルーノ・フライ、アイロス・スタッツァー「幸福の政治経済学 人々の幸せを促進するものは何か」(その2)

幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か作者: ブルーノ S.フライ,アロイス・スタッツァー,沢崎冬日,佐和隆光出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2005/01メディア: 単行本 クリック: 73回この商品を含むブログ (23件) を見る第7章 現行の政治…

田中秀臣「出口政策が熱い?!(その2)」(ノーガード経済論戦)

コメント 前半は、マクロ動学モデルの含意から、時間整合性をとる上でコミットメントが有効であることを論じており、このところ「日銀レビュー」で繰り返し論じられてきたこととも重なる議論。後半は、コミットメントなき現状の「本格的なデフレ脱出のフレー…

「4つのフィリップスカーブ」、「ゼロインフレの政治経済学」(Irregular Economist)

コメント 長期的には(あるいは短期においても)フィリップスカーブは垂直となるとする自然失業率(NAIRU)仮説について、ゼロインフレが最適なインフレ率であるとの結論をそこから導き出すことは困難であり*1、結論としては、政治的なプロセスの中でインフ…

大竹文雄「経済論壇から」(日本経済新聞 11/27/05)

人口減少によって衰退産業が発生することは間違いないが、一人当たり所得が低下するわけではない。むしろ、一人当たり資本が増加するため、生産性が上昇し賃金所得が増加するという可能性が高い。したがって、人口減少時代を乗り切れるかどうかは、効率的な…

ブルーノ・フライ、アイロス・スタッツァー「幸福の政治経済学 人々の幸せを促進するものは何か」(その1)

幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か作者: ブルーノ S.フライ,アロイス・スタッツァー,沢崎冬日,佐和隆光出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2005/01メディア: 単行本 クリック: 73回この商品を含むブログ (23件) を見る第1章 幸福とは何…

「インタラクティヴ読書ノート別館の別館」11/11付けエントリーのコメント欄における議論

日本の状況も、既存労働者の権利を守れと旗をふり、パートやフリーターを蔑視する左翼的なスタンス(中略)は、たぶん若年労働の就職難を後押ししてるんじゃないかと思えます。 左翼がフリーターを組織化したら、かれらの労働力としての存在意義がなくなって…

Blog Worth

つけてみた...のだが、数日で価値が倍以上になるのはどういうこと?

雇用形式などに関する備忘録的整理(その4)

これまでの関連エントリーの総括:09/22→09/28→10/28→11/06→11/01→本日のエントリー これまでの議論とも関連するが、長期的・安定的雇用システムの中にあった労働者に対して覚醒を促すようなメッセージが一定の妥当性を持ちうることは否定できない。その場合…

尾原重男「平等か悪平等か」(三菱総研)

I・カワチ、B・P・ケネディ「不平等が健康を損なう」は世界の各国間、アメリカ社会の時代的な比較によって所得格差が及ぼす影響を分析。これによると、一国の所得水準が低いうちは所得水準の上昇につれて国民の満足度が上昇するが、一定レベル以上になる…

ロバート・フランク「オデッセウスの鎖 適応プログラムとしての感情」(その2)

オデッセウスの鎖―適応プログラムとしての感情作者: R.H.フランク,大坪庸介出版社/メーカー: サイエンス社発売日: 1995/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 95回この商品を含むブログ (13件) を見る第8章 道徳を身につける 感情の役割は、19,20世…

雇用形式などに関する備忘録的整理(その3)

前回のエントリーに関連して。「竹中平蔵公式ウェブサイト」におけるある文章があちこちで話題になっている。こうしたいわゆる雇用流動化論*1についての自分の見方は、前回及び前々回のエントリーの通りだし、11/01付けエントリーのコメントを含めて特に付け…

ロバート・フランク「オデッセウスの鎖 適応プログラムとしての感情」(その1)

オデッセウスの鎖―適応プログラムとしての感情作者: R.H.フランク,大坪庸介出版社/メーカー: サイエンス社発売日: 1995/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 95回この商品を含むブログ (13件) を見る第1章 自己利益を超えて 自分の行動を自ら進んで何か…

高橋昌明「二極化はなぜ進むのか?再分配強化は必要か?」(大和総研)

単純なコイン投げゲームでは、ゲームを十分な回数繰り返すと、持ち金が多いと少々負けこんでもゲームを続けることが可能だが、持ち金が少ないと金がつきてゲームオーバーとなるため、一部の者に金が集中する一方で、金がつきる者が続出する「二極化」が生じ…

雇用形式などに関する備忘録的整理(その2)

前回の続き。前回は、日本的な長期・安定的な雇用システムを福祉社会の機能として考えること、また、若年層については、合理的な個人としてみなしうるケースが相対的に少なくなるため、この層について、外部労働市場で評価され得る限りでの「資産」の所有者…

玄田有史「働く過剰−大人のための若者読本」に対する労務屋氏の書評より

私は同感しないが、関係者のなかには、著者が「フリーター」や「ニート」といった概念を煽情的に(?)用いていることへの批判、反発もあるという。*1しかし、著者が『仕事の中の曖昧な不安』などによって、それまでともすれば「中高年失業」の問題ばかりに…

(基本)フレキシブル・ファーム(柔軟な企業)モデル

アトキンソンによる概念であり、企業が、人材活用面での量的・質的な変動への対応可能性を向上し、労働市場の需給や経済環境において適切な労働費用を実現することを目指したもの。 有期契約社員や、業務の外部化により「数量的柔軟性」を向上させるとともに…

FRB新議長

Statement by Federal Reserve Board Chairman Alan Greenspan: "The President has made a distinguished appointment in Ben Bernanke. Ben comes with superb academic credentials and important insights into the ways our economy functions. I have …

三浦展「下流社会 新たな階層集団の出現」

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)作者: 三浦展出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/09/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 125回この商品を含むブログ (663件) を見る第1章 「中流化」から「下流化」へ 第2章 階層化による消費者の分裂 第3…

山田久「人口減少時代の雇用システム改革〜2015年までに500万人の"人材"不足の恐れ〜」(日本総研)

人口減少は、市場原理(資本の論理)を徹底させ、競争の激化・高収益性の追求を加速。このため、「労働需要の高度化・柔軟化・流動化」を促進し、専門職・技能工の人材不足を一層深刻化。我が国の産業構造の向かう方向性は「第2次産業と第3次産業の融合を通…

大竹文雄「若者の機会を奪うな(人口減と生きる 私の意見)」(日本経済新聞 10/06/05)

コメント 世代間格差を広げる要因(若年層から高齢者層への移転)として年金制度の在り方を批判し、また、人口減少下で相続人が減ることによる資産格差の拡大を個々人の能力差と関係のない格差であるとする。このため、多額の資産を残した高齢者について、年…

ノーベル経済学賞

"for having enhanced our understanding of conflict and cooperation through game-theory analysis" Robert J. Aumann Center for Rationality, Hebrew University of Jerusalem Thomas C. Schelling Department of Economics and School of Public Polic…

鬼頭朱美「投資法人、特定目的会社における税務上の論点」(ARES)

投資法人、特定目的法人の配当損金算入要件に係る90%超配当要件については、会計と税務の所得に差異がある場合、税務上の所得が会計上の所得よりも大きくなり、会計上の利益の額を全額分配していたとしても、90%超配当要件を満たさなくなる可能性がある。…

小田信之、永幡崇「金融政策ルールと中央銀行の政策運営」(日銀レビュー)

金融政策ルール(monetary policy rule)とは、物価や経済活動の安定を目的に、マクロ経済の変動に応じてシステマティックに金融政策を運営する方式を表現したもの。経済に発生する需要ショックや供給ショックの影響を相殺するように金融政策を運営すれば、経…

田中秀臣「最後の『冬ソナ』論」

最後の『冬ソナ』論作者: 田中秀臣出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2005/09メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (15件) を見る第1部 なぜ『冬のソナタ』に魅かれるのか? 第2部 なぜ経済学には純愛がないのか? コメント 一気…

大竹文雄「日本の不平等 格差社会の幻想と未来」(その2)

日本の不平等作者: 大竹文雄出版社/メーカー: 日本経済新聞社発売日: 2005/05/24メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 50回この商品を含むブログ (49件) を見る第6章 賃金格差は拡大したのか 賃金格差の拡大は、日本だけでなく、米国や英国*1にも共通する現…

今年のノーベル経済学賞は?

田中先生から今年のノーベル経済学賞予想に関するトラックバックがありましたが、自分は、過去に受賞した方の研究分野のアウトラインすらあまりフォローできていないので、ほとんど予想する資格がありません(トムソンの予想というのも、この件に関するHicks…

松谷明彦、藤正巖「人口減少社会の設計 幸福な未来への経済学」に関する議論

人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学 (中公新書)作者: 松谷明彦,藤正巌出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2002/06/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 25回この商品を含むブログ (26件) を見る 「人口減少社会の設計」(小田中直樹ネタ帳) 「し…

The R Book

The R Book―データ解析環境Rの活用事例集作者: 岡田昌史出版社/メーカー: 九天社発売日: 2004/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (21件) を見る買ってみた。これからいろいろ試してみる。