「格差社会」というのは、格差が拡大し、固定化した社会というよりはむしろ「金の全能性」が過大評価され、その結果「人間を序列化する基準として金以外のものさしがなくなった社会」のことではないのか。
経済的格差、或いは「下流」であることの意識が、人間の不幸と密接な関係を持つようになったというのが、現代の格差問題の本質にあり、それが長期不況・デフレ経済以降顕著になった、ということではないか。そして、重要なのは(絶対的基準でみた場合の)「貧困」の問題以上に、他人との相対的な比較を通じた不幸にあると思われます。
だから、社会等への貢献という意味での(つまり、他人との相対的な比較とは異なる意味での)人との繋がりを持つ人間は、不幸からの離脱が可能になるのかも知れない。結婚が幸福を促進するという幸福研究の含意も、ここから理解可能になる。