ラスカルの備忘録

ー 経済概観、読書記録等 ー

大竹文雄「経済論壇から」(日本経済新聞 11/27/05)

人口減少によって衰退産業が発生することは間違いないが、一人当たり所得が低下するわけではない。むしろ、一人当たり資本が増加するため、生産性が上昇し賃金所得が増加するという可能性が高い。したがって、人口減少時代を乗り切れるかどうかは、効率的な資本の利用が可能か否かにかかっている。これが経済学の標準的な考え方である。

コメント 少子化の主因である未婚率の上昇の背景には「女性が男性に家計を支える責任を求める意識の強さや、若い男性の収入が不安定化していること」等があり、出生率の向上のために「男女共同参画社会を実現すべき」とする山田昌弘氏の議論の建て方を批判するとともに、「そもそも少子はそれほど大きな問題なのだろうか」と問いかけ、引用部分の話に繋がっていく。最後に、年金の積立方式化が必要との話でまとめている。
人口減少社会については、09/06付けエントリーの松谷本とも一部重なる見方であるが、その際に生じ得る失業や格差については、もっと重視してしかるべきではないだろうかと思う。*1さらに言えば、「少子化自体を問題視する視線の背後にあるのは、実は単純な「大国日本幻想」なのではないか」というのはどうなのだろう...この辺りについては、もう少し考えてみる必要がありそう。年金制度に係る言及(や、以前に言及のあった遺産相続による格差の拡大)については仰るとおりかと思ったが、解決には先の長い話になりそうな気がした。

*1:失業の「不効用」の大きさについては、フライ等「幸福の政治経済学」でも問題にされている。