ある日銀関係者の潜在GDPに関する話が話題になっていたので、試算してみました。*1計算は、GDPギャップを推計する際に比較的標準的に使用される生産関数アプローチによるものですが、各種の仮定をおいた独自推計です。稼働率調整は、非製造業の資本ストックを含め可能な範囲で行っています。
潜在GDPは、基本的には長期的には高まることになりますが、1990年代に入るとその伸び率は明らかに鈍化し、今回の経済危機では、ついに減少することになりました。そのコンポーネントを詳細にみると、労働、特に労働時間の極端な低下がその主因となっています。ただしこれには、スムージングにHPフィルターを使っていることによる技術的な要因が作用しています。
それはそれとして懸念点ではありますが、現実のGDPの縮小はさらに大きなものです。このような状況では、財政による前例のない需要創出策は必須なものだといえます。*2一方、規制緩和など潜在GDPを引き上げる政策は、長期的には正しいものだとしても、(短期的にみた場合、)現在の局面では、むしろGDPギャップのさらなる拡大、つまりは失業率のさらなる上昇につながることになるでしょうね。*3
(参考)